長編

□禁断領域
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※女体化パロ注意






僕には、昔から仲のよかった"しんのすけ"という幼馴染がいる。

幼稚園からの付き合いで小中高も全て一緒、大体いつも二人で行動していた。
それは自他共に認める、友達を通り越して親友といえる間柄だった。


だが高校卒業間近になって進路を決めるというところで僕は進学、しんのすけは就職と、それまで共にしてきた関係を断ち切るかの如く、それぞれ別々の道を歩むことになったのだ。


その流れで自然と顔を合わせることもなくなり、次第に連絡を取り合うこともなくなっていった。

互いに地元を離れることはなかったが、しんのすけとはその後、一度も会うことはなかった。




ーーー




大学に通い始めて約一年。

どちらかというと物静かで内向的な僕は、積極的に行動できず友達もあまり作れずにいた。

大学で毎日顔を合わせている人たちに関わる時でさえも、緊張して上手く話せない。
素の自分を押し殺して、なんとか作り笑いをして。


そんな日々を重ねるごとに、極度のストレスが溜まっていくのは痛いほど分かっていた。

一流大学に入れたものの将来何をしたいのか自分でも分からなくなり、エリート街道真っしぐらだと思われた人生に最近絶望を感じ始めていた。

親の期待に応えるためだけに進学を決めた僕の考えは浅はかで間違いだったことに気付く。




こういう時、不意にしんのすけの事を思い出すのだ。

あの頃はとても楽しかった。
毎日が充実していて毎日がキラキラと輝いていて。
しんのすけが一緒なら、しんのすけが傍に居てくれるなら、怖いものなんて何もなかった。


卒業してからアイツとは音信不通になってしまったけれど、僕はしんのすけのことを一度も忘れたことなんてなかった。

忘れたくなんてなかった。



彼は今頃、どうしているのだろう。
しんのすけは外交的だし明るいし、ポジティブ思考なアイツのことだからきっと就職先でも上手くやっていけてるんだろうな。



ふとした瞬間にしんのすけとの思い出を頭に巡らせてはいつも感傷に浸っていた。

アイツのそばにいた時は太陽のような、陽だまりのような暖かい気持ちに包まれていたのに。もうその笑顔には一生会えることがないのだろうと何故かそう思っていた。






だがそんな時、何の前触れもなくしんのすけから突然電話がかかってきたのだ。

一年ぶりに聞く、彼の戯けた愉快げな声に自然と胸が躍ってしまうのが分かった。



何故急に連絡をしてきたのか疑問に思っていると、電話口からしんのすけが一緒に住まないかと僕を誘ってくれたのだ。

彼からの予想外過ぎる同居発言に少なからず驚いたのだが、特に断る理由もなかったため、僕は二つ返事でそれを受け入れた。
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