長編
□禁断領域10
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ワンピースを着て目の前に突っ立っている風間くんを見て唖然とする。
「な、んで.....」
何でまたそんな格好してるの。
何でそんな格好で此処に入ってくるの。
何で。
君は俺をどうしたいの?
「風間、くん.....何の真似か知らないけど、やめて....頼むから」
「しんのすけ、僕の話、聞いて....?」
「無理だ。そんな格好で俺のとこに来るな。早く出て行ってよ」
「お願いだ、しんのすけっ....」
風間くんが静かに此方へと一歩ずつ近付いてくる。
「っ、来るなって言ってんだろ!!!」
頼むから。頼むから。
こっちに来ないでくれ。
もう、風間くんを傷付けたくない。
泣かせたくはない。
大声で威嚇したはずなのに、風間くんは此方に歩み寄ってくる足を止めることはなかった。
「何なんの、風間くん。どうしたいの?今日俺に何されたか覚えてないの...?」
彼の姿がまともに見れなくて、片手で目を覆い項垂れる。
「しんのすけ」
ギシ....と軋む音が響き、風間くんがベッドの上に乗ってきたのだということが分かった。
「しんのすけ」
「. . . . . . .」
「なぁ、しんのすけ」
「俺に、近付かないでくれっ!!!」
顔を上げた瞬間、俺の唇に温かいものが触れる。
「っ........!!」
風間くんに、キスされていた。
驚く余裕もなく、唇が離れる。
間近で見た風間くんの瞳からは涙が溢れ出ていた。
「しんのすけっ....僕っ、女の子になる」
「は......風間くん、何言っ......」
「女の子として生きて、しんのすけの恋人になるの」
「え.....」
「しんのすけから離れたくないんだっ....!しんのすけが、好き!!好きっ.....だから一人にしないでっ.....!」
涙を流しながらも風間くんは俺から目を逸らすことはなかった。
頭がおかしくなりそうだ。
もう、いいのだろうか。
我慢しなくても。
「ねぇ、風間くん。俺は本気なんだ。本気で風間くんが好きなんだ。半端な気持ちで俺のことを想ってくれているのならやめてほしい」
「僕も、本気だよっ!本気でしんのすけが好きっ!!大好きなんだっ.....!」
あぁ、もういいんだ。
我慢しなくても。
彼の小さな頬を両手で包むと、指で涙を拭う。
「風間くん、俺は君をきっと壊してしまう。傷付けてしまう。それでもいいの?」
「うん。壊していいよ。傷付けていいよ....しんのすけと離れる方が悲しくて怖いから....」
「風間くんっ.....!」
そのまま彼をきつく抱き締めた。
自然と風間くんも控えめだが俺の背中に腕を回してくれる。
こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。
てっきり風間くんに拒絶される、軽蔑されると思っていた。
でも、彼は俺のことを好きだと、そう言ってくれた。
夢、みたいだ。
小さな身体を抱き締めたまま、風間くんの耳元に唇を寄せる。
「風間くん、抱いてもいい?」
「う、うん....少し、怖い、けど」
「大丈夫。今度はちゃんと優しくするから」
「うん....」
静かに頷いた風間くんの唇にそっと口付ける。
ついばむようなキスを繰り返し、強張っている風間くんの身体をベッドに押し倒した。
「本当、風間くんに似合ってるよ。そのワンピース。すっごく可愛い」
「んんっ、しんのすけっ。は、恥ずかしいよっ.....!」
ワンピースを全部脱がし、風間くんは生まれたままの姿になる。
透き通るような風間くんの白い肌は、月明かりに照らされ幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「風間くん、もうこんなに濡れてる。分かる?」
「やだっ....!そこ、触っちゃ....!」
風間くんの柔らかい素肌や匂いが。
可愛い声や体温が。
俺の全てを満たしてくれる。
「ほら、ここ気持ちいいの?」
「あ、あぁっ....!なんか、変なっ感じっ...!」
ずっと想いを寄せていた相手が、今は俺の下で淫らに喘いでいる。
抱き合って、キスをして、甘い言葉を囁いて。
何だか不思議な気分だ。
「はぁ、風間くんっ。そろそろ、挿れるね?痛かったら言って」
「んんっ....!!あっ、あぁああっ!!い、たぁいっ....!しんのすけぇっ....!」
「っ、風間く、力、抜いて....」
「やっ、あぁんっ!!」
風間くん、風間くん、風間くん。
愛してる、愛してる、愛してる。
誰にも渡さない。
「くっ、はぁっ.....風間くん、そろそろ出すよ」
「んんっ、あっ、ひあぁっ!!」
「一緒にイこう」
「あっ、あっ!ああぁぁあぁあっ.....!!」
あったかい。
気持ちいい。
もう何も考えたくない。
「トオル、好きだ。愛してる」
このまま二人で。
このまま二人でずっと。
快楽のまどろみに溺れていたい。