【長編】ポケットモンスター ルフェインアヴァンチュール
□第2話
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あれから5時間。
船に揺られながら移動して、ようやくミュトス地方の街、ルベライトシティに着いた。
ダイゴと一緒に船を降りれば、アイカの母、この地方のチャンピオンであるアリアが手を振って挨拶をしてくる。
「……て、あら? ダイゴくんじゃない。どうしたの? ひょっとして、娘さんを僕にください的なやつかな?」
「違いますよ、アリアさん。ミュトス地方のチャンピオン代理として半年間過ごすといったアイカが心配になったんです。」
アイカを出迎えたアリアは、アイカの隣にいるダイゴを見て、思わず婚約の挨拶かと問いかける。
だが、ダイゴはすぐにそうじゃないと返してアイカと一緒に来た理由を口にした。
すると、アリアは納得したように頷き
「ダイゴくんがいるなら、安心できるわね。アイカはなにかと無茶しがちだから、ストッパー役が居てくれ助かるわ。」
ダイゴの同行を歓迎した。
チャンピオンとしての仕事はどうしたのかと言う質問がないのは、ある程度察しがついているからだろう。
その証拠にどこか穏やかな笑みを浮かべている。
「それじゃあ、アイカ。早速フルバトルをしましょう。あなたの実力、このチャンピオン・アリアが見極めてあげるわ。」
だが、その笑みは一瞬で、すぐに不敵な笑みに塗りつぶされる。
その笑みはまさに、チャンピオンとしての余裕の笑みだった。
「……大丈夫、アイカ。君なら勝てる。君の、バシャーモ達と力を合わせれば、必ず試練を乗り越えられるさ。だから、そんな風に緊張しないで、全力でぶつかってくるといい。」
その笑みを見て、緊張の面持ちをして固まったアイカ。
だが、ダイゴから優しく言葉を告げられて、その気持ちはすぐに消えていく。
自分のポケモンを信じればいい。
小さく呟かれた言葉に救われ、自身の母親と対峙する。
『ポケモントレーナー、アイカ。ミュトス地方チャンピオン・アリアに勝負を挑みます。お母さんとか、娘とか関係なしに、全力でぶつかってやる!!』
片手にモンスターボールを握り、真ん中のスイッチを押すことで、小さくしていたボールを大きくする。
その姿はただの娘ではなく、立派なトレーナーのそれだった。
今まで育てて来た娘、アイカ。
そんな彼女の真剣な目を見て、アリアは優しく微笑んだ。
それは、トレーナーとトレーナーではなく、チャンピオンと挑戦者でもなく、ちゃんとした、親としての眼差しだ。
「(大きくなったね、アイカちゃん。トレーナーとしてはまだまだだけど……子としては、立派に成長してる。どんなバトルになるか、楽しみね。)ダイゴくん。審判をお願いできるかしら? アイカは確かに、この地方のバッチを持ってない。四天王に勝ったわけでもない。だけど、私の無茶振りを聞いて今、チャンピオン代理としての力を見せようとしてる。だから、チャンピオンの先輩として……トレーナーの先輩として……何より、アイカの幼馴染として……その目で最後まで見届けてちょうだい。」
アリアは親としての表情をしたまま、アイカにアドバイスをしたダイゴに審判の依頼を申し込む。
「わかりました、アリアさん。肩書きはどうしましょうか?」
ダイゴはすぐにそれを引き受け、肩書きはどうするかとアリアに問う。
「もちろん……地方チャンピオンとして、そして、その挑戦者としての肩書きで。これは親子同士のバトルじゃない。立派な、トレーナー同士のバトルよ。」
その問いにアリアは考えることなく、肩書きを持ってバトルすると告げる。
ダイゴは小さく頷いたあと、アイカとアリアの間に立ち
「これより! ミュトス地方チャンピオン・アリアVSチャレンジャー兼、地方チャンピオン代理候補・アイカのバトルを始めます!!」
両手を挙げ、大きな声で、バトル開始の宣言をする。
「それでは……始め!!」
そして、始まりの合図とともに、勢いよくその手を振り下ろした。
同時にアイカとアリアがモンスターボールを握りしめ
「「お願い、エアームド!!/
頼んだわよ、マフォクシー!!
」」
最初のポケモンの名前を、モンスターボールを投げながら呼ぶ。
親子……いや、トレーナーとトレーナー同士のバトルが始まった。
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