短編

□玲香ちゃんの恩返し
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昔々、あるところに若月さんが一人で住んでいました。




今日も若月さんは真面目に朝から芝刈りに。
すると茂みの奥から何やら鳴き声が聞こえてきました。




ミャーミャー




「なんだろう?」
茂みに入り様子を見てみると一匹のミーアキャットがイノシシ用の罠に掛かり動けずに鳴いていました。




「かわいそうに、ほら、お逃げ」
若月さんは罠を外してあげました。
嬉しそうに小さな両手で顔を隠したミーアキャット。
そして恥ずかしそうにその場から逃げ出しました。
逃げ足はとても速く、すぐにその姿は森の奥へと消えていきました。




その後、いつも通りに芝刈りをする日が続き、若月さんはミーアキャットを助けたことをすっかり忘れてしまいました。




ある夜、若月さんが絵を描いていると、コンコンと誰かがドアを叩く音がしました。
「こんな時間に珍しいな、誰だろう」




玄関ドアを開けると一人の女の子が立っていました。
玲香と名乗る目鼻立ちがハッキリした女の子はこう話しました。
「道に迷ってしまいました。よろしければ泊めて頂けませんか?」




そういえば女の子はどことなくミーアキャットに似ています。
も、もしや鶴の恩返しみたいにあの時のミーアキャットが恩返しに来たのかも、、若月さんはどうぞどうぞと家に招き入れました。




- 1週間後 -




「ちょっと玲香ー。ゴロゴロしてるなら洗濯手伝ってよー。」
「待ってー。もうちょっと寝てたいのー。」




玲香は家事や炊事が苦手の様で若月さんはいつもの2倍の量をこなしていました。





「ねえ、ちょっと恩返しは?」
「んー。気が向いたらやる。」




こうして玲香ちゃんの気が向くことはなく恩返しが実行されることはありませんでしたが2人仲良く暮らしました。めでたしめでたし。
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