短編

□眠りの森の玲香ちゃん
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昔々、あるところに一人の王子様がいました。
その王子の名前は若月。
とても真面目でツッコミが上手くみんなから信頼された王子です。




ある日、若王子は王様から呼ばれました。
「実は、お前にはずっと前から決まっている婚約者がいるんだよ」
初めて聞く話に若王子も戸惑います。
「そんな、会ったこともないのに。」
「大丈夫、きっと上手くいく。婚約者である隣の国の姫は観劇が趣味でお前と話が合う。」
「でも、」
「つべこべ言ってないで早く挨拶に行ってこんか!」
こうして若王子は婚約者だという隣国の姫に挨拶へ行くことにしました。




愛馬に跨がり途中休憩も取りつつ早5日が経過し、若王子は隣国のお城の近くに辿り着きました。
しかし、お城は太いトゲのあるツルに巻かれておりなんだか様子が変です。




不思議に思った若王子は近くにいた村人に聞きました。
「お城はいったいどうしたんですか?」
村人の話によると、先週ちょうど誕生日だったお姫様が悪い魔女に騙されて糸車で指を刺してしまったことから深い眠りについてしまったとのこと。そしてその後トゲのあるツルに覆われてお城全体が眠りについてしまったというのです。



(ずいぶん詳細で詳しいな)
若王子は不思議に思いましたが、お礼を言ってゴシップ好きの村人と別れました。




お城の前に到着すると、皆が眠りシーンとした空気が一層不気味な雰囲気を出しています。
しかし、若王子は姫の為に勇気を出しツルを切りお城の中に入って行きました。




ツルに覆われ日差しが入らないお城の中をロウソクの明かりと共に進んでいくとこの世のものとは思えない鳴き声と共に大きなドラゴンが現れました。
「これが姫を眠らせた魔女の正体か。」
察しの良い若王子は初めて会う魔女の正体に直ぐに気づきました。




火を吹き襲いかかってくるドラゴンの攻撃を若王子はダンスで培った華麗なステップでかわしていきます。
そして一瞬の隙をつきドラゴンの心臓に剣を突き刺しました。
断末魔と共に倒れたドラゴンはいつしかお城を覆っていたツルと共に消えてしまいました。




ツルがなくなったことから再び差し込んできた陽の光に導かれて若王子は姫の部屋にやって来ました。
扉を開けるとそこにはベッドで気持ち良さそうに眠るお姫様が一人。
「なんて綺麗な人だろう」
若王子はついキスをしてしまいました。



すると、パチっと大きな目が開き姫が目覚めました。
「あなたは誰?」
「私の名前は若月。隣の国の王子です。」




「わぁーーー///寝てたら若にちゅーされちゃったぁ///」
「へ?」
「若のえっちーーー///」
「ちょ!声がおっきい!」



こうしてこっそりキスしたことが城中に知れ渡った若王子とお姫様はたまに観劇をするなどして仲良く暮らしました。めでたしめでたし。
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