metempsychosis

□0〜W
1ページ/4ページ




  0




悪魔、というとまるで人々を苦しめる存在に聞こえるかもしれない。

しかし、実際に人間に取り憑いて命を奪うのは死神の仕業である。

輪廻、というのをご存知だろうか。
悪魔と天使は人間の輪廻、転生させるために存在している。
もっとも、インド哲学や仏教において輪廻は苦としてその解脱を目指しているが。

そういう意味においては悪魔や天使は、死神よりも悪ということになるのだろう。

悪魔は人間の死期を決める仕事を受け持ち、
天使は悪魔が選んだ人間を転生させる仕事を受け持つ。
悪魔は選んだ人間の死期を決め、死期が訪れるまで、死神からその人間を護り通すのだ。


「…」

そこには、立派な黒い羽を広げて
窓から見える真っ暗な景色を眺める悪魔が1人。

「サヤカ」

「…なんや、アイナ。用事があるならノックをしてくれ。」

「すまん。任務の時間や。」

「あぁ。」

ここにあるのは人間界、天界、魔界、下界の四つ。

下界には死神が住んでおり、そのほかの種が入ることはない。
天使と悪魔は天界、魔界、人間界を行き来し、任務のために人間の姿で人とともに過ごすこともある。

「サヤカ!」

「…相変わらずやな、アカリ。」

「もー…迎えに来てあげたのに。天界から来るのなかなか大変やねん!」

「アカリ、出かけの準備にめっちゃ時間かかんねん!まぁリカもわざわざ来てあげてんから、感謝してな。」

「…」

「無視?!」

「…うっさい」

「まぁまぁ!そこまでにして、揃ったし…いこか」


魔界と天界の狭間にある空間から、人間界に降りることができる。

サヤカと呼ばれたその悪魔は、乗らない気持ちを前面に出しながらその空間をくぐった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ