一章 出会いと告白
□十四 新たな一面
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その夜、宿屋 ラースの部屋
コンコン
ラース「おう、入っていいぞ」
ガチャ
シルビア「うふふ、少しお邪魔してもいいかしら?」
シルビアが笑顔で顔を覗かせた
ラース「シルビアか。どうしたんだ?」
シルビア「さっき、アタシ見ちゃったわ。マルティナちゃんとラースちゃんが手を繋いで祭りを回ってた所。
やっぱりアタシとベロニカちゃんの読み通り、ラースちゃんはマルティナちゃんの事気になってるんじゃないかしら?」
ラース「.........何の事だ?見当違いだと思うぞ」
シルビア「んもう!隠さなくたっていいのよ。普段のあなた達を見てたらわかるわよ」
ラース「.......ハァ。誰にも言うなよ?確かに俺はマルティナの事を少し特別視してるが、マルティナはきっと俺の事は大して気にしてないだろ」
シルビア「そうかしら?アタシ達にはマルティナちゃんも、ラースちゃんの事意識してるように見えるけど?」
ラース「面白がってみてるからそう感じるんだろ。あんな美人な人が俺なんか気にしねえよ」
シルビア「まあ、マルティナちゃんの事は少し置いておきましょ。ラースちゃん、あなたの気持ちはどうなの?」
ラース「俺の気持ち?」
シルビア「ええ。ラースちゃんはマルティナちゃんの事特別視してるって言ったけど、それってどういう特別視かしら?」
ラース「そりゃあ...........好きって意味だ。わ、悪いかよ」
シルビア「うふふ、全然悪くないわ。寧ろ、とってもいいじゃない。アタシ応援するわよ。二人はとってもお似合いだもの」
ラース「おもちゃにするの間違いだろ。それに、本当はこんな事してる時じゃねえんだ。オーブもかなり揃ってきた。しばらくすりゃ魔王と戦うんだ。それまでにこんな気持ちは消しておかねえとな」
シルビア「ちょっ、ちょっと!!どうしてよ!?いくらなんでも消す必要はないじゃない!いつかかならず伝えましょうよ」
シルビアはラースの発言に驚いている
ラース「無理だ。俺は、傷つきたくねえんだ。断られるってわかってるのにこんな事したくねえ」
シルビア「まだ何もしてないじゃない。わからないわよ。その気持ちを消したら、後悔するかもしれないのよ?」
ラース「そりゃあそうだがよ」
シルビア「ラースちゃんなら大丈夫よ!アタシ達が絶対にその気持ちを伝える場を作ってあげる」
ラース「マジかよ。なんでそこまで」
シルビア「アタシは二人に笑顔になってほしいの。もちろん、幸せにもなってほしいわ。その一番の方法があるんだから、そのためならアタシ、なんだってするわ」
ラース「......」
シルビア「それじゃあ突然ごめんなさいね。おやすみ〜」
シルビアは楽しそうに手を振りながら部屋を出ていった
ラース「ハァ.....(シルビアのやつ、何だったんだよ。気持ちを伝える.....ねぇ)」