一章 出会いと告白

□十四 新たな一面
2ページ/2ページ

その夜、宿屋 ラースの部屋


コンコン


ラース「おう、入っていいぞ」


ガチャ


シルビア「うふふ、少しお邪魔してもいいかしら?」


シルビアが笑顔で顔を覗かせた


ラース「シルビアか。どうしたんだ?」


シルビア「さっき、アタシ見ちゃったわ。マルティナちゃんとラースちゃんが手を繋いで祭りを回ってた所。


やっぱりアタシとベロニカちゃんの読み通り、ラースちゃんはマルティナちゃんの事気になってるんじゃないかしら?」


ラース「.........何の事だ?見当違いだと思うぞ」


シルビア「んもう!隠さなくたっていいのよ。普段のあなた達を見てたらわかるわよ」


ラース「.......ハァ。誰にも言うなよ?確かに俺はマルティナの事を少し特別視してるが、マルティナはきっと俺の事は大して気にしてないだろ」


シルビア「そうかしら?アタシ達にはマルティナちゃんも、ラースちゃんの事意識してるように見えるけど?」


ラース「面白がってみてるからそう感じるんだろ。あんな美人な人が俺なんか気にしねえよ」


シルビア「まあ、マルティナちゃんの事は少し置いておきましょ。ラースちゃん、あなたの気持ちはどうなの?」


ラース「俺の気持ち?」


シルビア「ええ。ラースちゃんはマルティナちゃんの事特別視してるって言ったけど、それってどういう特別視かしら?」


ラース「そりゃあ...........好きって意味だ。わ、悪いかよ」


シルビア「うふふ、全然悪くないわ。寧ろ、とってもいいじゃない。アタシ応援するわよ。二人はとってもお似合いだもの」


ラース「おもちゃにするの間違いだろ。それに、本当はこんな事してる時じゃねえんだ。オーブもかなり揃ってきた。しばらくすりゃ魔王と戦うんだ。それまでにこんな気持ちは消しておかねえとな」


シルビア「ちょっ、ちょっと!!どうしてよ!?いくらなんでも消す必要はないじゃない!いつかかならず伝えましょうよ」


シルビアはラースの発言に驚いている


ラース「無理だ。俺は、傷つきたくねえんだ。断られるってわかってるのにこんな事したくねえ」


シルビア「まだ何もしてないじゃない。わからないわよ。その気持ちを消したら、後悔するかもしれないのよ?」


ラース「そりゃあそうだがよ」


シルビア「ラースちゃんなら大丈夫よ!アタシ達が絶対にその気持ちを伝える場を作ってあげる」


ラース「マジかよ。なんでそこまで」


シルビア「アタシは二人に笑顔になってほしいの。もちろん、幸せにもなってほしいわ。その一番の方法があるんだから、そのためならアタシ、なんだってするわ」


ラース「......」


シルビア「それじゃあ突然ごめんなさいね。おやすみ〜」


シルビアは楽しそうに手を振りながら部屋を出ていった


ラース「ハァ.....(シルビアのやつ、何だったんだよ。気持ちを伝える.....ねぇ)」


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ