一章 出会いと告白
□十六 氷の魔女
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エッケハルト「そう!それこそクレイモランに伝わる王族の教え!全てが明らかになりました。本の中のシャール様こそが本物!」
リーズレット「またバレちゃった。もういいわ、降参よ。折角取り戻した魔力もなくなったし、私にはもう何の力も残ってないわ。煮るなり焼くなり好きにしなさい」
目の前のシャールは変身を解き、氷の魔女の姿になった
再び本は光を放ち、本物のシャールが中から出てきた
エッケハルト「魔女を捕らえるのだ!」
シャール「待ってください!」
シャールはリーズレットの前に立ち、兵士達からリーズレットを庇っている
エッケハルト「女王様!何をなさるのですか。そやつは危険です!」
シャール「皆さん聞いてください。確かに、クレイモランを氷漬けにした彼女の行いは、決して許されるものではありません。
でも、私が本の中に閉じ込められている間、彼女は女王の重責に押し潰されそうな私の相談に乗り、悩みを聞いてくれたのです。
彼女の明るい言葉を聞くたびに、父を亡くした悲しみは和らぎ、女王という責務に対しても、再び向き合っていける気がしました。
お願いします。もう彼女に悪さが出来るだけの魔力は残っていません。命だけは助けてあげてください」
シャールは頭を下げて懇願している
リーズレット「ちょっとあんた.....」
ベロニカ「エッケハルトさん。女王様がここまで言っているんだし、助けてあげてもいいんじゃない?」
エッケハルト「うむ。シャール様はこの国の王。その王が決めた事ならば、臣下は喜んで従いましょう」
リーズレット「ふん、お人好しな娘ね」
ロウ「リーズレットよ、なぜクレイモランを氷漬けにしたのじゃ?」
リーズレット「それは、あの美しい顔をしたあのお方が助けてくれたからよ。本の中にいた私は退屈でね。
でも3ヶ月前にそのお方に、本から出してやろう。その代わり、私のいう事を聞くんだ、と言われてね。
それが、クレイモランを氷漬けにすれば私と同じペンダントをつけた男が来る。その男、英雄グレイグを倒せって事だったの」
ロウ「グレイグと同じペンダントをした男か。その男の名はなんという?」
リーズレット「さあ?名前までは知らないわよ。封印を解いてくれた後、すぐにどこかに行ってしまったから。でも、とにかくいい男だったわね」
シャール「皆さん本当にありがとうございました。このブルーオーブを差し上げます」
イレブンはブルーオーブをてにいれた
ベロニカ「でも、国の宝なんでしょ?貰っちゃっていいの?」
シャール「いいんです。クレイモランの民こそがこの国の宝。あなた方が宝を救ってくれましたから」
ベロニカ「そう。じゃあ貰っていくわね。プレッシャーに負けちゃダメよ」
リーズレット「心配しなくていいわよ。これからは私が付き人として、シャールを守ってあげるわ」