二章 崩壊した世界と誓い
□六 正体
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ソルティコの町 海岸
海岸ではシルビアが立っていた
イレブン「あ、シルビア。こんな所にいた」
シルビア「あっ、イレブンちゃん。そっか、アタシを探しにきてくれたのね。実はねアタシ、イレブンちゃんと再会できたらウルノーガと戦うって心に決めてたの。
だけど、パレードのみんなを預けるためにパパに会う決心が中々つかなかったの。あのプチャラオ村の親子を見るまでは。
話し合えば分かり合える。そう覚悟を決めてここまできたんだけど、やっぱりパパと会うのが怖くてね、アタシがこの町の出身だって言ったかしら?」
イレブン「いや、僕はグレイグから聞いたんだ」
シルビア「そう、グレイグが言ったのね。聞いての通り、アタシは子どもの頃から騎士になるべく徹底的に鍛え上げられた。だからアタシはずっとこの町で騎士として生きていくと思ってた。
そんな時、サーカス団が町にきたの。そのサーカスのショー、とにかく面白くって!不思議と体の中から力が湧いてくるの。アタシはサーカスのパワーに魅せられたの。そして、アタシは確信したわ。笑顔は人を強くする!アタシの騎士道はこれだってね。
いてもたってもいられなくなってね、今のアタシに必要なのは旅芸人の修行だってパパに打ち明けたら、当然のように反対されてその時言ってやったのよ。
世界中の人達みんなを笑顔にできるような、アタシにしかできない騎士道を極めてやる!それまで町には帰らない!って、屋敷が壊れるくらいにパパと大喧嘩して、アタシは町を飛び出していったわ」
イレブン「そっか、シルビアの始まりはそこからだったんだね。でも、僕はそのシルビアの騎士道はとっても素晴らしいものだと思うし、色んな人を笑顔にする事ができてる。世界中を笑顔にするのも、そう遠くないと思うよ」
シルビア「おセンチな話しちゃったわね。でも、イレブンちゃんに励まされて勇気が出てきたわ!よ〜し!パパに会いにいきましょう」
シルビアは決心した様子で屋敷へ向かった
ジエーゴの屋敷
先程の決心した様子とは裏腹に、シルビアはイレブンの後ろに申し訳なく隠れていた
シルビア「パパ.....ただいま」
ジエーゴ「誰だぁ、てめえ。.....!?その顔は!我が息子ゴリアテ!てめえ、どのツラ下げて帰ってきやがった!!」
ジエーゴはベッドから立ち上がり、大声で叫んだ
シルビア「ひいいい!ご、ごめんなさい!」
ジエーゴ「ごめんなさいだと?ハァ....てめえ何か勘違いしてねえか?」
シルビア「え?」
ジエーゴ「てめえの騎士道ってやつで、世界中を笑顔にできたのか?」
シルビア「......いいえ。まだです」
ジエーゴ「だったら.....なぜ帰ってきやがった!てめえは大口叩いて出ていった。なのに、夢を果たさぬままよくも抜け抜けと!そんな風にてめえを育てた覚えはねえぞ!うぐっ!」
ジエーゴは傷が痛んだのか少し頭を押さえた
シルビア「パパ!それって....」
ジエーゴ「.....ちくしょう!こんな身体じゃなけりゃてめえをぶん殴ってたところだ」
シルビア「ありがとう、パパ!ずっとアタシの事認めてくれてたのね!アタシ、確かに夢半ばのまま帰ってきちゃったけど、それには理由があるの」
ジエーゴ「....魔王か」
シルビア「そう。魔王がいる世界じゃ、人は心の底から笑えないの。
だから、アタシ魔王を倒す。そして明るい世界を取り戻して、今度こそ夢を叶えてみせるわ」
ジエーゴ「ハッ!魔王を倒すだと?てめえ、またでかい事言いやがったな。おもしれえ、やってみやがれ」
シルビア「ええ!騎士に二言はないわ。それで実はパパにお願いがあって来たの。魔王を倒すまで、アタシのナカマ達を預かって欲しい。そして、アタシの代わりに皆の中心になって導いてほしいの」
ジエーゴ「ハッ!そんなもんお安い御用よ!困ってる人を助けるのが騎士道ってもんだ」
シルビア「えっ、パパ、本当?」
ジエーゴ「おうよ!ドーンと引き受けてやらあ。騎士に二言はねぇ!」
シルビア「キャ〜ッ!パパ、ありがとう〜。それじゃあみんな〜、パパに挨拶なさ〜い」
ピューイ!
シルビアは口笛を吹いた
ドドドド!
バタ!
パレードA「キャ〜ッ!すっごくキレイなお部屋だわ〜。ステキ〜!」
パレードC「わ〜。オネエ様のパパかっこいい〜。これからよろしくね」
パレードの人達が続々と入ってきた
ジエーゴ「お、おいゴリアテ。こいつらはどういう事だ!」
シルビア「はい、パパ。これを着てね」
シルビアは自身が着ているような服を見せた
ジエーゴ「おい!何だ、この服は!聞いてないぞ!」
ジエーゴはシルビアと同じ奇抜な服に驚いている
シルビア「だって、アタシの代わりに皆の中心になってくれるって言ったじゃない。騎士に二言はないんでしょ?」
ジエーゴ「そりゃ言ったが......ちっ!仕方ねえ、引き受けてやらあ!」
ジエーゴも渋々その服に着替えた
屋敷前
パレード達「オネエさま〜。やっぱりお別れなんて嫌よ〜」
シルビア「アタシだって、皆と別れるのはさみしいけど、魔王ちゃんを倒さなくっちゃ。それまでの短いお別れ。パパの言うこと、ちゃんと聞くのよ?アタシ達は遠く離れてたってナカマよ!」
パレード「オネエさま〜。いつでも呼んでね!アタシ達、どこだろうと駆けつけるから!」
シルビアはイレブンとの連携技、ナカマ呼びを覚えた
シルビア「アタシのわがままに付き合ってくれてどうもありがとう。これからもよろしくね、イレブンちゃん」
シルビアが再び仲間に加わった
シルビア「アタシの船なら東の浜辺に置いてあるの。今まで通り好きに乗っていいわよ」
グレイグ「船が使えれば、今まで行けなかった場所に行けるようになる。引き続き仲間を探しながらラムダを目指そう」
シルビア号
アリス「そう言えばダンナ、こんな話知ってるでげす?バンデルフォン地方のネルセンの宿屋って場所に泊まると、みんなが同じ夢を見るんだとか」
ロウ「それは気になるのう。それじゃあ、ネルセンの宿屋に向かってみるかの」