二章 崩壊した世界と誓い
□六 正体
1ページ/2ページ
プチャラオ村高台
イレブンが向かうとシルビアは一人で遠くを見つめていた
シルビア「話し合わなくちゃ伝わらない.....か。
.....!?イレブンちゃん!いつの間にそこにいたの?あの親子、再会できて本当によかったわね。
だけど......失われた命や人々は帰ってこない。ねえ、イレブンちゃん。魔王ウルノーガは、世界を滅亡させるほどの強大な力を持っていたわ。あの力を前にしても、やっぱり戦うというの?」
イレブン「うん。僕らは魔王なんかに負けない。この世界を守るために、もう一度戦うんだ」
シルビア「やっぱりイレブンちゃんは勇者ね。世界に笑顔を取り戻す!なんて言って世助けパレードを始めたけど、魔王を倒さなくちゃ本当の笑顔は訪れない。
だからアタシ、イレブンちゃんの旅にもう一度ついて行くわ!だけど、その前にお願いがあるの。アタシはウルノーガと戦って命を落としても構わないわ。
だけど、パレードのみんなは巻き込めない。だからみんなを信頼できる人の所に預けたいんだけど、実は一人だけ当てがあるの。
でもその人ホンットにおっかなくて一人で会うのは心細いの。だからお願い。イレブンちゃん、ついてきてくれない?」
イレブン「うん、いいよ。それなら一緒にお願いしに行こうか」
シルビア「ありがとう!それじゃあパレードのみんなに伝えに行きましょう」
プチャラオ村入り口
パレードの全員が集まり、シルビアの発表を待ちわびていた
シルビア「はーい!みんな〜聞いて〜。
アタシ、パレードやめる!」
パレード達「えええええ!!」
シルビア「だけど安心して。魔王ちゃんをやっつけるまでの間よ。倒したら、絶対にみんなのもとに戻ってくるわ」
ガヤガヤ
全員はどうしようなど騒いでいる
その時、一人が決心したように叫んだ
パレードA「.....アタシ、オネエさまを応援する!みんなの笑顔を奪う魔王ちゃんなんて、絶対に許せないもの!」
パレードB「アタシも応援するわ!オネエさまと離れるのはさみしいけど、魔王ちゃんを倒すなんてオネエさまにしかできないもの!」
次々と応援する声が上がっていく
シルビア「そう。世界に笑顔を取り戻すためよ。だから、それまでの間アタシのパパがいるソルティコって町で待っていてほしいの」
グレイグ「......パパ?......ソルティコ?......貴様まさかとは思うが、ゴリアテか?」
シルビア「うふふ、やっと気づいたのね。いつ気づくかずっと待ってたのよ、グ・レ・イ・グ」
グレイグ「な!!?」
グレイグはかなりのショックを受けたようで驚いたまま固まってしまった
シルビア「それじゃあソルティコヘむけて、しゅぱ〜つ!」
シルビアはそんな事を気にした様子もなく進んでいく
イレブン「だ、大丈夫?グレイグ」
グレイグ「な.....何て事だ。あの生真面目なゴリアテが、あんな姿に。さぞ、ジエーゴ殿はお怒りになるに違いない.......。おお、イレブン、すまない。あまりにもショックだったもので取り乱してしまった。
ヤツの本当の名はゴリアテ。剣の達人とうたわれる、ソルティコの名門騎士の跡継ぎだ。
ヤツは幼少から父上のジエーゴ殿に鍛えられていたから、さぞ立派な騎士になると思っていた。ところがある時、理由はわからないがジエーゴ殿と凄まじい大げんかをして、町を飛び出していったのだ。それきり行方はわからなかったが.......
丁度いい、私もジエーゴ殿にお会いしたかったのだ。このままソルティコヘ向かおう」
ソルティコの町
シルビア「不思議なものね。この町には二度と来るまいと思ってたのに、まさかこんな風に帰ってくるなんて。心の準備をしたいから、イレブンちゃんはパパのお屋敷に先に行ってて」
イレブン「わかった」
ジエーゴの屋敷
グレイグ「師匠、グレイグでございます。久方ぶりです」
部屋に入ると中年くらいの厳つい男性がベッドに座っていた
頭には怪我のような跡がある
ジエーゴ「おうおう、グレイグじゃねえか。てめえが修行を終えて旅立ってからもう数十年か。近くに来てツラ見せろい。
てめえの活躍は聞いてるぜ。図体でかいだけが取り柄だったお前が今やデルカダールの英雄様だなんてよ、ハハッ!」
グレイグ「思ったよりお元気そうで何よりです。師匠の元で騎士道を教わっていなければ、今の私はありえなかったでしょう。
.....ここを旅立ってから色々な事がありました。16年前のユグノアの悲劇に始まり、先日の大樹の落下、そして今や魔王が....。
そういえばあいつはどうしたのだ。俺は師匠と話しているから、イレブン、様子を見てきてくれ」