二章 崩壊した世界と誓い

□七 悪夢
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ネルセンの宿屋


イレブン「ふう、ネルセンの宿屋についたね」


シルビア「それじゃあ夢というのも気になるし休みましょうか。もし、何かみれたら報告してね」





男がそこにいる。周りには青い炎があがっている


???「ああ、くちおしい。後悔という名の鎖がこの身を縛りつける。私は何もできなかった無力な存在。もし、あの日に戻れるのなら、地獄の業火に焼かれても構わない。ああ、くちおしい、くちおしい」


.....誰か私の願いを受け止めて。あの人を暗い絶望の闇から解き放って。私の声よ。どうか誰かに届いて。お願い





ロウ「ふむ、それでは噂通り、皆が同じ夢を見たようじゃな。くちおしいと嘆く戦士の夢を」


シルビア「何だか必死に助けを求めてたわね。できれば手を貸してあげたいけど、手がかり無しじゃお手上げだわ」


ロウ「あの戦士の甲冑に描かれた紋章は、間違いなくユグノアのものじゃった。そういえば、世界が闇に覆われてからユグノアがどうなったかも気になる。少し様子を見にいかんか?」


イレブン「そうだね、ユグノア城に行ってみようか」


ユグノア城跡地


ロウ「この場所は元々崩壊しておったが、さらに酷い有様になってしまったのう。たしかこのあたりじゃったかのう。すまんが、このガレキをどかしてもらえんか?」


イレブン「わかった、ちょっと待っててね」


階段があらわれた


ロウ「これは地下通路への入り口。ユグノアに何か危機が訪れた時に、城の外へ逃げるための道じゃ。わしの読みが正しければこの先に、夢で見た戦士の手がかりがある」


地下通路奥地


そこには夢と同じ姿の戦士がいた


???「おのれ、またやってきたのか。邪悪なる魔の者達よ。貴様ら魔族のせいで、私は全てを失ったのだ!許さんぞ!」


ロウ「この戦士はやはり!.....イレブン、あの戦士を宥めるのじゃ。あの戦士と話がしたい」


イレブン「わかった。気をつけていこう」


嘆きの戦士があらわれた


シルビア「グレイグ!バイキルト!」


イレブン「はやぶさ斬り!」


戦士「ダークブレイク!」


戦士「許さんぞ!」黒い球を投げつけてきた


グレイグ「くっ!これは呪いか!全身全霊斬り!」


ロウ「おはらいじゃ」


グレイグ「ありがとうございます、ロウ様」


シルビア「イレブンちゃん!バイキルト!」


イレブン「ありがとう、シルビア!はやぶさ斬り!」


戦士「ビッグバン!うおおお!」仲間達は呪われた


ロウ「グランドクロス!」


グレイグ「全身全霊斬り!」


戦士「うう、くちおしい、くちおしいぞ。よくもエレノアとイレブンを。ゆるさぬ、許さぬぞ!」


ロウ「やはりそうか。お主はアーウィンじゃな。アーウィンは、このユグノアの王であった男じゃ。それと同時に、勇敢なるユグノアの戦士でもあった。そしてイレブン、お主の父親でもある。まさかこんな形で再会するとは思わなかった。


アーウィンよ、なぜお主はこのような姿になってしまったのだ。わしによく顔を見せておくれ。......なっ!これは一体!」


そこには顔はなく、暗く渦巻いている


その時どこからか女性の声が聞こえてきた


ああ、ついに来てくれた。彼を救ってくれる人が現れるのをずっとお待ちしていました。


あなた方のおっしゃる通り、この方はユグノア王国を治めていたアーウィン王です。16年前、ユグノアを襲った悲劇の時、彼は闇に怯む事なく戦い抜き、正義の光を胸に立派に王国を守りました。


しかし、今やその光は失せてしまった。今の彼は生きることも死ぬこともできない悪夢を彷徨う悲しい屍。


どうかお願いします。暗く悲しい悪夢から彼を解放してあげて。彼の絶望に光を照らしてあげてください。


イレブン「おじいちゃん、僕がやってみる。父さんを助けてみせる」


イレブンは顔を覗き込んだ


???「ケファファファ、また餌がきた。さあ、我が絶望の中に落ちてくるがいい。極上の悪夢を見せてやろう」


ユグノア城


イレブン「ここは.....?あれは父さん?」


イレブンが気づくとお城の中にいた。周りからは見えていないようだ


人「アーウィン王!イレブン様の誕生おめでとうございます!」


イレブン「ここは、僕が生まれた日なのか」


アーウィン「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。本日は、我が国ユグノアにとっても大切な日。祝杯の宴をどうか楽しんでください」


エレノアの部屋


子マルティナ「赤ちゃんってこんなに小さいのね。ちょっと触ったら壊れちゃいそう。エレノア様、イレブンに触ってもいい?」


エレノア「ふふ。この子ったらマルティナの事好きみたいね。遊んでほしいって言ってるわ。イレブンは勇者として生を受けた希望の子。この子が大きくなったらいかなる困難も乗り越える、力強く逞しい子になってほしいわ」


子マルティナ「エレノア様に似たら皆に優しい子になるわね、きっと!あ、アーウィン様!」


アーウィン「さあ、エレノア。もうすぐ四大国会議が始まるよ。イレブンをこちらに」


外は雨が降り始め、雷も落ちている


エレノア「こんな特別な日に急にこんな天気になるなんて。それに私、さっきから妙な胸騒ぎがして」


アーウィン「エレノア、安心してくれ。何があっても君とイレブンは私が守るから心配いらないよ」


四大国会議中


バタン!


兵士達「王様方!お逃げください!数えきれない魔物達が!」


デルカダール王「くっ!何という事だ!そなたはイレブンとエレノアを連れて城の外に逃げろ!ここは私とロウが引き受けた!」


アーウィン「ありがとうございます、デルカダール王!」


その時、エレノアと幼きマルティナも一緒にやってきた


エレノア「あなた!ああよかった!窓から魔物の大群が見えてあなたとイレブンが心配で」


アーウィン「あまり話している時間はない。早くここから出よう。君とイレブンは、私が何があっても助ける!」


地下通路


アーウィン「さあ!早く逃げろ!追ってはここで私が何とかする!さあ、忌々しい魔物達め!覚悟しろ!」


その後


デルカダール王「マルティナ!!ここにもいないのか?マルティナ!?ぐはっ!」


アーウィン「デルカダール王!おのれ、お前は一体何者だ!」


アーウィンの近くでは何者かがデルカダール王を気絶させていた


ウルノーガ「フフフ」ウルノーガはデルカダール王の中に入っていく


その後、すぐにデルカダール王が目を覚ました


アーウィン「デルカダール王!ご無事でよかった!うぐ!一体何を....」ドサ


デルカダール王は近づいてきたアーウィンを剣で貫いた


デルカダール王「フフフフフ」


若グレイグ「デルカダール王!いらっしゃいますか!これは!?」


デルカダール王「アーウィンは魔物に取り憑かれ、私に襲いかかってきたのだ。私は仕方なくこの手でアーウィンを。やはり、勇者という光が闇を引き寄せたのだ。


勇者イレブンがいなければ、こんな事にはならなかった!イレブンはこの世界に光をもたらす希望の子ではない。災いを呼ぶ悪魔の子だ!


悪魔の子を生かしておくわけにはいかない!草木をわけても探し出せ!」


デルカダール王はグレイグと共に去っていった


アーウィン「く.....ちが.....イレブンは悪魔の子なんかじゃ.....すまない、エレノア、不甲斐ない私を許してくれ」


???


そこには魔物が今の光景を食べている


バクーモス「ゲファファファ、うまいうまい。我が名はバクーモス。絶望を喰らうもの。国は滅び、愛する家族とは死に別れ、この男の絶望はまさに高級フルコース。一度食べたら忘れられぬ。16年間こいつの絶望を食べたが、そろそろ違う味も試したかったところだ。


さあ、お前の新鮮な絶望をいただくとしよう。これはお前の記憶の中にある最も忌まわしい記憶」


イレブンの頭の中にあの時の大樹の光景が浮かび上がる


バクーモス「お前は勇者の力を奪われ、魔王を誕生させてしまった。だから世界は滅びたのだ。お前は誰も守れなかった。お前は世界を救えなかった。それは無力な勇者の罪」


イレブン「う、うう....」


イレブンに自責の念が押し寄せてくる


バクーモス「さあ、絶望の中に落ちてしまえ」


暗い場所に落ちていくイレブンの頭に先程の女性の声が聞こえてきた


イレブン。私の声が聞こえますか?あなたの中にある聖なる光は、決して消える事はありません。


その光はあなたの中で密やかに目覚めの時を待っています。さあ、その光で再びこの世界を照らすのです!


闇を滅ぼす事ができるのは勇者であるあなただけ!!さあ、目覚めなさい!


イレブン「!?そうだ、僕は負けない!」


カアアッ!


イレブンからは光が溢れてくる
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