一章 出会いと告白
□三 崩壊
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ラース「それで、俺の育った村にどうして向かってたんだ?」
ロウ「それはお主が前に話したオーブの事について聞きたいことがあってのう。今わし達は魔王ウルノーガを倒すためにオーブを探しておるんじゃよ」
シルビア「そうなの。それで前にオーブを調べてたって聞いて、村に行ってみようってなったのよ」
ラース「そうだったのか。調べてたってのは俺もそうだが、もっと詳しいのは俺の村の村長だ。だから詳しいことは、もう少し先にある俺の故郷に着いてからだな(まさか.......こんな巡り合わせがあるとはな)」
数分後
森を抜け草原を歩くと少しして洞穴があり、その中を歩いていた
洞穴自体はかなり整っており綺麗な道となっている。隅には松明も置かれて洞穴全体が明るく照らされている
ベロニカ「ねえラース、まだなの?それなりに歩いたけど」
ラース「いや、この真っ直ぐの洞穴の先なんだがおかしいな。もう村の人に会っていてもおかしくないし、何よりギルグードに会えるはずなんだが....」
ラースはこの洞穴に誰もいない事を疑問に思っているようだ
カミュ「なあ、さっきからなんだか少し焦げ臭くないか?」
シルビア「確かに....少し焦げ臭いわね」
ラース「この洞穴に入ってからだよな。....まさか....!!」
ラースは急に走り出していく
マルティナ「あ!ラース!待って!」
それを見たマルティナも先に続く
セーニャ「私達も追いかけましょう!」
ガラッシュの村 入り口
ラース「嘘だ...ギルグードが守っていながらこんな事になるなんて」
ラースは村の入り口で呆然と立ち尽くしていた
ロウ「これは...何ということじゃ」
そこは家は焼け落ち、黒い煙が上がっていた。広場はボロボロになり、大きな木が焼け落ちて更に煙の量を増やしている
さらに至る所には人の死体が辺りに転がっていて、煙の匂いに混じり血の匂いもすさまじかった
ベロニカ「こんなの....酷すぎるわ」
セーニャ「もしかして、先ほどの連携が取れていた魔物達はこの村を襲った後ということでしょうか」
イレブン「無事な人がどこかにいるかも知れない!みんなで手分けして探さないと!」
カミュ「火はまだ点けられてからそう時間も経ってねえみてえだ。犯人もまだ近くにいるかもしれねえ、みんな気を付けろ」
ラース「あいつは....ギルグードは何処にいるんだ」
呆然としていたラースは小さく呟いた後、村の奥へと走っていく
マルティナ「ラース!一人じゃ危険だわ!待って!」
マルティナは一人で行くラースを止めようと追いかける
シルビア「マルティナちゃん!私達も追いかけましょう」
ガラッシュの村 広場 奥
ラース「!!!」
マルティナ「あれは!?そんな....」
そこには黒髪の青年が血だらけの状態になっており、大剣を支えに何とか立ち上がろうとしていた
ギルグード「うっ...くそっ....」
その青年の先には金色の髪をして、白い鎧をつけた男性が立っていた
???「ほぉ....まだ息があるか....だがこれで終わりだな、ドルモーア!」
青年の足下に黒い魔法陣が描かれると、青年の体を闇の魔力が包み込みそのまま爆発した
ギルグード「ぐはっ....」ドサッ
青年は口から血を吐き、倒れ込んだ
ラース「ギルグード!!!」
???「ん?」
ラースの叫び声に鎧を着た男性がこちらを見た
マルティナ「どうしてこんな事するの!あなたはこんな事をする人じゃなかったはずよ!
ホメロス!」
そこに立っていたのはデルカダール王国双頭の鷲の片割れ、ホメロス将軍だった
過去にダーハルーネの街でイレブン達を追い詰めた張本人である
ホメロス「おや....誰かと思えば...このホメロス、あの忌まわしき日から16年、姫様ご健在成りしは望外の喜びです。ですが、もう私は姫様の知るホメロスではないのです」
ラース「この村を襲ったのはお前か!なぜこの村を襲った!!」
ラースは倒れている青年の側でホメロスに向かって怒鳴り声をあげている
ホメロス「フン、もう手遅れだから特別に教えてやろう。この村はどうやらオーブを所有し、さらに勇者についても代々研究しているとウルノーガ様から聞き、早めに刈り取っておかねばならぬと言われたのだ」
マルティナ「ウルノーガですって!?」
ホメロス「だが、本当にこの村にオーブは無いようだな。村も壊滅させたところだ。もう用はない」
そう言うとホメロスは闇に消えていった
ラース「てめえ、待ちやがれ!」
ラースは消えていくホメロスに向かうが、もうホメロスはいなくなっていた
ラース「くっ....ギルグード、生きてるか!」
ラースは先程倒れた青年ギルグードに向かっていく
セーニャ「あっ!あそこに2人ともいらっしゃいました!」
そこにイレブン達もやってきた
マルティナ「セーニャ!ロウ様!この人を助けられますか?」
ロウ「これは......すまない、体や内臓へのダメージが酷い。もう回復魔法でも助からん可能性が高い」
ギルグードの姿を見たロウは顔を歪ませて呟いた
ラース「そんな!!!じいさん、何とかしてくれよ!!こいつ、俺の幼なじみなんだ!頼む!!」
ラースはロウに縋り付くように頼み込んでいる
その顔は少し青くなっており、必死な表情で息を荒げている
セーニャ「ラース様、どうか落ち着いてください。私達でやるだけの事はやってみます」
セーニャとロウはギルグードに回復魔法を使い始めた
ギルグード「ラース....やめろ....俺は助からねえ...」
ギルグードは苦しそうにしながらラースに話しかけた
ラース「ギルグード!何諦めてんだよ!」
ギルグード「さっきの魔法で内臓をやられた.....助からねえ事くらいわかるさ....」