一章 出会いと告白

□十二 プチャラオ村
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プチャラオ村


マルティナ「この村の騒々しさは相変わらずね」


ロウ「この村は古代の遺跡がある事で有名でな。以前、わしらはウルノーガの情報を求めてこの村に来たんじゃ」


ラース「こんなの前に来た時あったか?この看板に書いてあることも古代の遺跡と関係があるのか?」


ラースが指した看板をカミュが読みあげた


カミュ「プワチャット遺跡の神秘  壁画にて微笑む妖艶なる美女が絵を見た者に幸福をもたらす、だってよ。うさんくせーな。じいさん、こんな所で何かわかったのか?」


ロウ「ほほ、確かにのう。お主が言うように、その時は何の手がかりも得られなかった。じゃが、あの時とは状況も違うからの。今回はイレブンもおるし、改めて遺跡を調べれば何か収穫が得られるかもしれんぞ」


ラース「確かその遺跡なら道なりに進んで、奥の丘を超えた先にあったやつだな。ここは人も多いからな。各自で他にも情報を集めつつ向かおうぜ」


皆もそれに従い、バラバラに動いていった


遺跡前の丘


女の子「パパ....ママ......ぐすっ」


そこにはシルビアと泣いている女の子がいた


イレブン「あれ?シルビア、その子どうしたの?」


シルビア「あら、イレブンちゃん。ちょうどいい所にきたわ。この子ったら迷子みたいなのよ。ほら、泣かないの。アタシ達がついてるわ。ね?だからお名前を教えてちょうだい?」


シルビアは屈んで女の子の身長に合わせながら、優しく語りかけた


メル「メル。....あたし、メルっていうの。ここには、パパとママと一緒に何日もかけてきたの。でも、壁画のご利益でお金持ちになるんだって言ってパパもママもどこかに行っちゃったの。お兄ちゃん達お願い。メルのパパとママをみつけて」


シルビア「大丈夫よ。安心なさい。アタシ達があなたのパパとママを探してきてあげるわ。アタシは村の方を探すから、イレブンちゃんは遺跡の方を見てきてくれないかしら?いいでしょ?」


イレブン「うん、放っておけないしね」


シルビア「さっすがイレブンちゃんね!じゃあ遺跡の方はよろしくね!アタシも村の方を探したら後を追うわ」


遺跡内部


中に入ると、カミュとベロニカとセーニャが先に絵を見ていた


カミュ「よお、イレブンも来たのか。このデカイやつが、噂の壁画だとよ。確かにこいつは中々の迫力だな。でもってそこで笑ってる彼女が、俺らに幸福をくださる美女ってわけだ」


ベロニカ「ふーん、所々傷もあるけど思ってたよりもキレイな絵ね」


絵には左上に大きな切り傷がついている


セーニャ「ん?....あの胸の所に掛かっている物って何でしょう?鍵のように見えますけど不思議な感じがしますわ」


ベロニカ「もしかしてあれってまほうの鍵じゃない?」


グウウウウ


何かの音が鳴り響いた


カミュ「おいおい、ベロニカ。派手に腹なんか鳴らして、そんなにハラペコなのか?まあお子様は食べるのが仕事だからな」


ベロニカ「あたしじゃないわよ!失礼ね!大体アンタこそ、さっきから壁画の美女なんかに見とれちゃってさ!」


バンッ!


急に扉が開けられ、数人の人達が入ってきた


観光客達「おお!これが幸福を与えてくれる壁画の美女か!」


カミュ「おい!何だアンタら。俺達が見てたってのに」


観光客達「アンタらこそ何だ。さっきから壁画を見てたくせに。ご利益はみんなのものだ」


カミュと観光客は険悪な雰囲気になっていた


セーニャ「イレブン様、一旦この場からは離れた方がよさそうですね」


イレブン「ちょっと待って。すみません、この中にメルちゃんという子の親はいらっしゃいませんか?」


観光客達「誰?それ?知らないな」


観光客達はそれぞれ顔を見合わせた後、そう言った


イレブン「わかりました。すみませんでした」
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