二章 崩壊した世界と誓い

□九 覇海軍王ジャコラ
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船内


外海に向けて船で進んでいると


ガタン!


シルビア「あら?船倉のほうから何か音がしたわね。イレブンちゃん、様子見てきてくれる?」


イレブン「うん。わかった」


船倉


そこには誰かがフードを被り、食べ物を必死で食べていた


イレブン「そこにいるのは誰?」


???「はっ!」


フードが取れると、あの特徴的なツンツンとした青い髪の青年、カミュだった


イレブン「あ!カミュ!」


シルビア「大丈夫?皆も呼んできたわ。って、カミュちゃん!」


ロウ「おお!カミュよ。やはり生きておったか。お主なら、ただでは転ばんと思っておった」


イレブン「でもカミュ、何か変だよ?どうしたの?」


カミュ「ゆっ、許してください!」


カミュは全員に土下座している


全員「!?」


カミュ「俺、三日も飲まず食わずで、この船に食べ物が積まれるのが見えて、つい出来心で」


シルビア「......えーとカミュちゃん?」


グレイグ「どういう事だ?この男カミュではないのか?」


カミュ「あの、俺の名前は多分カミュであってますけど、どうしてそれを?あなた達は俺の事、何か知ってるんですか?」


ロウ「お主まさか、記憶が無くなったのか?」


カミュ「俺、昔の事が思い出せないんです。気付いたら世界は大変な事になってるし、本当訳が分からなくて。覚えてるのは俺の名前と、何か大事なやらなくちゃいけない事があったような気がするだけなんです。


あの、こんな事頼める義理じゃないんですけど、もし俺の事何か知ってるなら俺も同行してもいいですか?特に、あなたといれば何か思い出せそうで。盗み食いした分は弁償します。皿洗いでも掃除でも何でもしますから」


カミュは怯えた様子をしながらも、イレブンに頼み込んだ


ロウ「確かにわしらと行動を共にすれば、いずれ記憶も蘇るだろう」


シルビア「それに、今のカミュちゃんを放っておくと危険だと思うの」


イレブン「そうだね。可哀想だし、早く記憶も戻してあげないと大変だからね。いいよ、一緒に行こう」


カミュ「ありがとうございます!俺、精一杯頑張ります!」


カミュが再び仲間に加わった


シルビア「うーん。なんかムズムズするわ。ベロニカちゃんとラースちゃんが今のあなたを見たら笑い転げるでしょうね」


クレイモラン大陸前


巨大な黄金が海から壁のように生えており、先に進めない


シルビア「何よこれ。前はこんなのなかったわよね」


ロウ「ふむ、困ったのう。この先には魔王討伐の手がかりになる聖地ラムダがあるというのに」


イレブン「そういえば、前にセレン様に光の柱の場所を教えてもらった時にクレイモランの北から中に入れる場所があったよ。そこに行ってみよう」


北海


におう.....におうぞ、命のにおいだ


どこからか声が聞こえてきた


全員「!」


ザバァン!


船の近くから大きな魚のような魔物が水飛沫をあげて現れた。そいつは前にイレブンを海に落とした覇海軍王ジャコラだった


カミュ「ヒイッ!」


船端にいたカミュはいきなり目前に現れた巨大な魔物に怯えている


イレブン「カミュ!」


イレブンはそんな様子のカミュを守るように前に出た


ジャコラ「おや?お前は確か前に取り逃したやつか、まあよい。海に沈むがいい!」


ジャコラは船に向かって攻撃し始めた


ロウ「まずいぞ!攻撃が効かないやつにどうすれば」


その時、イレブンの左手に復活した勇者の紋章が光り始める


イレブン「はあっ!」


イレブンが天に手をかざすと雷がジャコラに向かって落ちてきた


ビシャァァン!!


ジャコラ「グアアアア!なんだ!これは!」


聖なる雷の力により、ジャコラを守っていた赤い膜が砕けた


ジャコラ「許さん!貴様ら海の藻屑にしてやる!」


覇海軍王ジャコラがあらわれた


マルティナ「デビルモード!」


マルティナは魔物の影響を受けた力により、黒いバニースーツを着た姿へと変身した。その力により、マルティナの体に力がみなぎっていく


シルビア「イレブンちゃん!バイキルト!」


シルビアはイレブンの体に緑色の魔法陣を描くと、イレブンの全身が緑色のオーラに包まれ、イレブンの筋肉がかなり増大する


ジャコラ「ふん!」


ジャコラが腕を振るわせてくる


イレブン「全身全霊斬り!」


ズドン!


イレブンのパワーアップした全力の一撃がジャコラの腕ごと叩きつける


ジャコラ「ギャアア!腕が!」


イレブン「やっぱりあの赤い膜がバリアだったんだ!皆、攻撃が通るようになってるよ!」


ロウ「それならば今度こそ喰らうがよい!グランドクロス!」


ロウは十字の攻撃をジャコラの体に放つ


ジャコラ「はあっ!」


ジャコラは火球を吐き出し、グランドクロスと相殺させた


ジャコラ「海の藻屑になれ!」


ジャコラは強く両腕を船に叩きつけて船を揺らした


全員「うおお!」


船は右に左にギシギシと音を立てて激しく揺れている


ロウ「ひゃあっ!」


ロウは揺れに耐えられずすっ転んだ


マルティナ「さみだれ突き!」


マルティナはその激しく揺れる中でもしっかりとバランスを取り、ジャコラに向かって槍を連続で突き出した


ジャコラ「ぐっ!」


シルビア「ハッスルダンスよー、そーれ!」


シルビアの元気で愉快な踊りと笛の音に、イレブン達の力がみなぎってきた


イレブン「全身全霊斬り!」


イレブンは再び全力の一撃をジャコラに叩きつけようとする


ジャコラ「もう当たらん!」


ザブン!


ジャコラは海に潜り込んで船から見えなくなった


イレブン「くっ!どこにいった!」


マルティナ「ロウ様、大丈夫ですか?」


ロウ「すまんのう、腰を強く痛めたようじゃ。後で薬を塗らねば」


今のうちにとマルティナがロウを立ち上がらせていた


ジャコラ「はあっ!」


その隙をジャコラが海から突然現れて、二人に向かって攻撃した


二人「!」


マルティナ「は!」


ロウ「ほほ、奇襲とは汚いのう」


二人は驚きつつも華麗に飛んで避けた


ジャコラ「ボミオス!」


イレブン達全体に緑色の魔法陣が描かれ、まるで体が重くなるような力がかけられそうになる


全員「?」


しかし、イレブン達はなんともないような顔をしているためどうやら不発に終わったようだ


ジャコラ「チッ!」


マルティナ「デビルモード!」


マルティナの変身した姿は更に強力なものとなり、黒く纏ったオーラも濃くなっている


シルビア「ほとばしる〜、アモ〜レ!」


シルビアはみりょくの力を指先に込めると、ハートの形にして撃ち出した


ジャコラ「ぐっ、なんだこれは!」


イレブン「全身全霊斬り!」


イレブンはジャコラがシルビアの攻撃に怯んだ隙に斬りかかるが


ジャコラ「メイルストロム!」


全員「な!?」


ジャコラは一瞬で船全体に巨大な黄緑色の魔法陣を描き、船全体に大きな嵐のような竜巻が巻き起こった


ビュオオオッ!


イレブン「ぐううっ!」


ズバッ!シュバッ!


イレブンは特に風の刃に当たり、顔や防具が切られていく。また船にもどんどん切り傷がついていく


ロウ「これはなんとかせねば!グランドクロス!」


ロウが上空にある黄緑色の魔法陣目掛けて、十字の攻撃を放った


パリィィィン!


グランドクロスに直撃した魔法陣は十字に斬られ、消え去った。それと同時に船全体を覆っていた激しい竜巻も消えた


ジャコラ「このジジイ!はっ!」


ジャコラはロウ目掛けて火球を放った


ロウ「ゴールドフィンガー!」


ロウは爪に力を込めると、金色の球を作り出し飛んでくる火球目掛けて打ち出した


ボォン!


火球とゴールドフィンガーは相殺された


マルティナ「さみだれ突き!」


ジャコラ「なに!?」


ズドドドド!


変身したマルティナが目にも止まらぬスピードでジャコラの腕を足場に、目前まで跳び上がるとそのまま槍を連続で繰り出した


その威力にジャコラも思わず前屈みに倒れそうになっている


シルビア「ハッスルダンスよ〜、そ〜れ!」


シルビアの元気で愉快な踊りと笛の音に、イレブン達の力がみなぎってきた


イレブン「全身全霊斬り!」


イレブンは倒れてくるジャコラに飛び上がり、頭から思いっきり大剣を振り下ろした


ズバッ!!


ジャコラ「ギャアアアア!」


ロウ「グランドクロス!」


そこに更にロウの十字の攻撃が追い討ちをかける


ジャコラ「く、くそ!もう許さん!この船諸共沈んでしまえ!!はあっ!」


ジャコラの頭についている赤いオーブが怪しく光り出した


マルティナ「あれはレッドオーブ!」


ジャコラはレッドオーブの力を解き放つ


すると、どこからか赤い霧が船全体を覆いつくした


ロウ「なんじゃ、この霧は」


シルビア「不気味な霧だわ、って!皆見て、あの魔物が!」


ジャコラ「うおおおお!!」


ジャコラは体が赤いオーラで包まれており、目も全てが赤くなり、まるで暴走しているようだ


ジャコラ「はっ!」


ジャコラが腕を船に振るわせた


ドォォン!!


先程よりも激しく強い一撃がイレブン達を襲った


全員「うわあああ!!」


その強力な一撃は船も一部壊し、波も船もその威力に大きく揺れている


イレブン「くっ、凄いパワーだ」



ジャコラ「ぐおおお」


ロウ「じゃが、理性が無くなっておる。早い所片付けてしまおう」


マルティナ「それならイレブン、ロウ様、あの連携技で!」


二人「うん!/うむ!」


ロウとマルティナはイレブンに力を送り込んでいく


イレブン「はあああ.....やあああ!!」


イレブンが二人の力を合わせて右手を挙げるとその手から巨大な雷が撃ち放たれる。雷は猛スピードで真っ直ぐジャコラに向かっていく


三人「ジゴデイン!」


ズバァァン!


雷がジャコラの体を貫いた。その衝撃により、理性を失っていたジャコラが元に戻った


ジャコラ「グアアアア!このジャコラ様が敗れるはずが.....あの雷はまさか、勇者!?」


ジュワー


ジャコラは煙となって消え、頭についていたレッドオーブが落ちてきた


コトン


イレブンはレッドオーブを取り戻した


ロウ「勇者の力を取り戻したイレブンにかかれば、あんなの敵ではないわい」


イレブン「でも、僕が勇者でまだ生きてるって事がバレたね。うかうかしてられないよ。急いで皆を探さなきゃ、クレイモランに行こう」


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