一章 出会いと告白

□三 崩壊
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ラース「な!!?駄目だ!お前は俺のライバルだろうが!こんな所で死ぬんじゃねえよ!」


ラースはギルグードに向かい怒鳴るように話す


ギルグード「はは.....まだ俺を.....ライバルだと思っていてくれたんだな。だが俺は........あいつら相手に手も足も出なかった。お前のライバル.......失格だな」


ギルグードは時折痛みに耐えるようにしながらボソボソと話している


口からは血が流れ、目も虚ろになってきている


セーニャ「あまり喋ると内臓に響いてしまいます。どうかお静かにお願いします」


セーニャは真剣な表情で会話をしないようにお願いする


ラース「すまない....。ギルグード、手を握っていてやる。大丈夫だからな」


ラースはまだほんのりと温かいギルグードの手をそっと握った


ロウ「.....ふむぅ....」


ロウとセーニャは真剣な表情で、顔からはかなりの汗が出ている


シルビア「ロウちゃん!セーニャちゃん!凄い汗よ!大丈夫なの?」


ベロニカ「ここまで酷い怪我だと相当な集中をかけないと駄目なのよ。それでも助かるかわからないけど」


しかし怪我は治らず、ロウとセーニャは顔を見合わせて首を振ると回復魔法を使うのをやめた


ロウ「出血が止まらん。すまぬが、わしらにできる事はここまでのようじゃ」


ラース「!!!!」


ラースはその言葉に酷いショックを受けていた


ギルグード「じいさん、姉ちゃん、悪いな。ありがとよ」


ロウ「..... ラースよ、辛いと思うが最後の別れを済ませるのじゃ。わしらは他の人が生きているか確かめてこよう」


他の人達は静かにその場を去っていき、周りにはラースとギルグードだけになった


ラース「.....わかった。ギルグード、俺が来るのが遅かったばかりに、お前一人にこんな目に合わせてしまった。許されないのはわかってる。だが.......どうか許してくれ」


ラースの目からは涙が流れている


ギルグード「俺も.....いつでもお前が帰ってきてもいいように村を守るつもりだったんだがな。俺の力不足だ。すまなかったな、ラース」



ラース「....!手が....冷たくなってきた....」








ギルグード「じゃあ.....な、ラース....元気でな」



ギルグードはそう言い、ゆっくりと目を閉じた



ラース「ギルグード!!!!そんな....」


ラースは静かに声を抑えながら泣いた


その間、冷たくなったギルグードの手はずっと握りしめられていた



















その後、村に生き残りはいない事がわかった
イレブン達は村の人達の墓を作るのを手伝っていた


ラース「すまないな、こんな事を手伝ってもらって」


ベロニカ「いいのよ。それに今アンタが一番つらいのに一人でこんな事やらせるわけないでしょ」


マルティナ「そうよ。気にしないで」


ラース「..........ありがとな。そろそろ全員分集まったかな」


ラースは広場の奥に大きな穴を掘り、その中に村人達の骸を全ていれ埋めた


シルビア「まとめて埋めちゃって大丈夫なの?」


ラース「ああ。焼け落ちてしまったが、広場には立派な神木様があったんだ。村のしきたりでその神木様の前の墓に埋めて、広場でお供え物を燃やす。


そうすると、入り口から吹いてくる風で、煙がこの木を登って上に向かっていく。そうやって魂はここの神木様を登り、命の大樹へ還ると言われていたんだ。もう.....登る物もないが、形だけでも....な」


ラースは最後の部分を悲しそうに言うと手を合わせ、大樹に向かって祈り始めた


その姿を見て、イレブン達も祈りを捧げた


お祈りを済ませると辺りは夕方になっていた


ラース「長い間付き合ってもらってありがとう。本当なら村で休んでほしかったが、入り口の南側にキャンプできる場所がある。そこで休んでくれ」


カミュ「ラースはどうするんだ?」


ラース「俺は今日ここで休むよ。突然すぎて、まだ心の整理ができていないんだ」


マルティナ「わかったわ、こっちに来ても大丈夫だからね」


そうして、みんなとわかれた


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