一章 出会いと告白
□七 人魚
2ページ/3ページ
水門を潜ってしばらくすると霧が発生し始めた
シルビア「んもうっ!なんなのこの霧!なんにも見えやしない」
シルビアは困ったように言った
カミュ「シルビアのおっさん、こんな霧どこから出てきた?」
シルビア「わからないわ!急に霧が出てきたの!」
ラース「この近くで霧なんて出たか?すぐに抜け出した方がいいかもな!」
船の周囲には先が見えないほどの霧が出ていた
シルビア「そうね、気味が悪いし全速力よ!」
しばらく進み
マルティナ「見て!あそこに光が出てきたわ!霧が晴れるわよ!」
白の入り江
船は砂浜に乗り上げ、動かなくなってしまった。一先ず場所を確認するために全員降りていた
イレブン「シルビア、大丈夫?」
シルビア「ごめんなさい、イレブンちゃん。海図を散々調べてみたけど、この場所の事はどこにものってないの。こういう気味の悪い場所は早くオサラバしちゃいたいけど、船が岸に乗り上げちゃって船を出せないのよ」
イレブン「ううん、気にしないで。取り敢えず先の方に行ってみるね」
イレブンはマルティナとベロニカとラースと共に奥まで来ていた
マルティナ「不思議なところね。幻みたいだわ」
ラース「そうだな。ここだけ流れが穏やかなように感じるな」
その時、近くの海から誰かが突然現れた
ザバァァ!
全員「!?」
???「キナイ!?キナイなの?.....ハァ」
そこにはピンクの髪をした女性がいた
ベロニカ「ちょっとお姉さん、驚かさないでよね!それに人の顔見てため息なんて失礼よ!」
それを聞いた女性は海から上がってきた
ザパァァ!
ラース「この姿はっ!」
その女性は体から下半分が魚の姿となっていた
ベロニカ「お姉さん!に...人魚っ!?」
イレブン「........」
???「あら、あなたは叫ばないのね。私を捕まえようとしないし、珍しい人ね....キナイと同じね」
女性はイレブンを見て、そう言った
ロミア「驚かせてごめんなさい、私はロミア。キナイが来てくれたのかと思って、つい飛び出してしまったの」
ラース「驚いたな。人魚なんて本当にいたのか」
マルティナ「本当ね。私も御伽噺のものだとばかり思ってたわ」
ベロニカ「でも、そのキナイって人はいったい誰のこと?」
ロミア「キナイはナギムナー村に住む人間の漁師です。私はこの入り江で彼を待っているんです。....私たちは結婚の約束をしたんです」
マルティナ「結婚!?人間と人魚が!?」
ロミア「私もそんな約束叶うわけないと思ってた。私達人魚には、オキテがあるから......陸にあがった人魚は再び海に戻る時、泡となって消える。
だから、私達人魚は海から離れて生きられない。でも、それを知ったキナイは私のために海底でくらすと言ってくれたの。海底王国の女王様も許してくださったわ」
マルティナ「なんだか夢みたいな話だわ。素敵ね、ロミア」
ロミア「でも、キナイが来ないの。一緒に海底王国へ行こうって、この入り江で約束をしたのに....キナイが約束を破るなんて、一度もなかったの。
彼の身に何かあったんじゃないかと思うと、夜も眠れなくて。あの、失礼を承知でお願いがあります!キナイの様子を見てきてもらえませんか?私に出来ることなら何でもします!」
ラース「そう言われてもな..........待てよ、海底王国があるって事は、無理だと思っていたオーブの事も....」
ラースは顎に手を当て、思い出すようにそう言った
ベロニカ「ロミア!私達を海底王国へ連れて行ってくれない?」
ベロニカはそれを聞き、ハッとしたようにロミアに聞いた
ロミア「はい!あなた方の船を人魚に伝わる秘宝で海に潜れるようにします!」