一章 出会いと告白

□七 人魚
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水門を潜ってしばらくすると霧が発生し始めた


シルビア「んもうっ!なんなのこの霧!なんにも見えやしない」


シルビアは困ったように言った


カミュ「シルビアのおっさん、こんな霧どこから出てきた?」


シルビア「わからないわ!急に霧が出てきたの!」


ラース「この近くで霧なんて出たか?すぐに抜け出した方がいいかもな!」


船の周囲には先が見えないほどの霧が出ていた


シルビア「そうね、気味が悪いし全速力よ!」


しばらく進み


マルティナ「見て!あそこに光が出てきたわ!霧が晴れるわよ!」


白の入り江


船は砂浜に乗り上げ、動かなくなってしまった。一先ず場所を確認するために全員降りていた


イレブン「シルビア、大丈夫?」


シルビア「ごめんなさい、イレブンちゃん。海図を散々調べてみたけど、この場所の事はどこにものってないの。こういう気味の悪い場所は早くオサラバしちゃいたいけど、船が岸に乗り上げちゃって船を出せないのよ」


イレブン「ううん、気にしないで。取り敢えず先の方に行ってみるね」


イレブンはマルティナとベロニカとラースと共に奥まで来ていた


マルティナ「不思議なところね。幻みたいだわ」


ラース「そうだな。ここだけ流れが穏やかなように感じるな」


その時、近くの海から誰かが突然現れた


ザバァァ!


全員「!?」


???「キナイ!?キナイなの?.....ハァ」


そこにはピンクの髪をした女性がいた


ベロニカ「ちょっとお姉さん、驚かさないでよね!それに人の顔見てため息なんて失礼よ!」


それを聞いた女性は海から上がってきた


ザパァァ!


ラース「この姿はっ!」


その女性は体から下半分が魚の姿となっていた


ベロニカ「お姉さん!に...人魚っ!?」


イレブン「........」


???「あら、あなたは叫ばないのね。私を捕まえようとしないし、珍しい人ね....キナイと同じね」


女性はイレブンを見て、そう言った


ロミア「驚かせてごめんなさい、私はロミア。キナイが来てくれたのかと思って、つい飛び出してしまったの」


ラース「驚いたな。人魚なんて本当にいたのか」


マルティナ「本当ね。私も御伽噺のものだとばかり思ってたわ」


ベロニカ「でも、そのキナイって人はいったい誰のこと?」


ロミア「キナイはナギムナー村に住む人間の漁師です。私はこの入り江で彼を待っているんです。....私たちは結婚の約束をしたんです」


マルティナ「結婚!?人間と人魚が!?」


ロミア「私もそんな約束叶うわけないと思ってた。私達人魚には、オキテがあるから......陸にあがった人魚は再び海に戻る時、泡となって消える。


だから、私達人魚は海から離れて生きられない。でも、それを知ったキナイは私のために海底でくらすと言ってくれたの。海底王国の女王様も許してくださったわ」


マルティナ「なんだか夢みたいな話だわ。素敵ね、ロミア」


ロミア「でも、キナイが来ないの。一緒に海底王国へ行こうって、この入り江で約束をしたのに....キナイが約束を破るなんて、一度もなかったの。


彼の身に何かあったんじゃないかと思うと、夜も眠れなくて。あの、失礼を承知でお願いがあります!キナイの様子を見てきてもらえませんか?私に出来ることなら何でもします!」


ラース「そう言われてもな..........待てよ、海底王国があるって事は、無理だと思っていたオーブの事も....」


ラースは顎に手を当て、思い出すようにそう言った


ベロニカ「ロミア!私達を海底王国へ連れて行ってくれない?」


ベロニカはそれを聞き、ハッとしたようにロミアに聞いた


ロミア「はい!あなた方の船を人魚に伝わる秘宝で海に潜れるようにします!」
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