蝶屋敷短編
□気づいたら
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カ「ごめんね、遅くなっちゃって!」
し「もう!早く任務に行きましょ!」
そう言うと、姉さんは少し困った顔をした。
何かあったのかしら?
カ「えーっと、それがね?今回の任務なんだけど、私外れたのよ。」
し「はぁ!?じゃあ私が1人で行くってこと?」
カ「そういう事じゃなくて、私と別の人と組む事になったのよ。もうその人は現地に向かっているわ。だから、しのぶも早く行きなさい。」
し「えー!誰なのよ、別の人って!」
カ「うーん…本人から口止めされてるから、私からは言えないわ。けど、大丈夫!きっと、その人に会えばしのぶも喜ぶはずよ!じゃあ頑張ってね♪」
やけに上機嫌な姉さんに見送られ、私は教えられた合流地点に渋々向かう。
し「この辺よね。誰なのよ、もう。」
ぶつぶつと悪態をつきながら、
周りを見渡す。
少し離れた所に人影が見えた。
ゆっくりとその人影に向かって歩く。
し「あそこにいる人かしら…。……、え?」
合流地点にいたのは不破さんだった。
固まって動けないでいると、不破さんはこちらの気配に気づいたのか視線を向ける。
し「あ、えっと…き、今日はよろしくお願いします!//」
『あぁ。』
そう言うと、不破さんは目的地に向かう。
私も置いていかれないように後を追う。
少し距離を空けて後ろから着いていくと、不破さんの足がピタッと止まった。
『私から離れるな、横にいろ。』
「は、はい!」
目的の鬱蒼とした山に着くと、
ゆっくりと歩を進める。
し「あ、あの…。」
『ん?』
し「あ、姉から不破さんの『海麗でいい。』っ、…海麗さんの話をよく聞いています!仲良くしてくださってると…。」
『仲良く、か…。あんなに物怖じせずに話しかけてくるやつも珍しかったな…。』
そう言う海麗さんの表情は心做しか嬉しそうに見えた。
『私もカナエからしのぶの話しはよく聞いている。しっかり者でからかいがいのある可愛い妹がいると。』
し「姉さんったら…!//すみません…姉がそのような事ばかり…。」
『いや。話を聞いて会ってみたいとは思っていたから。カナエが可愛いと自慢したくなる気持ちはわかる。』
顔に熱が集まるのがわかる。
この人、絶対天然タラシだわ。