降谷零の姉は公安警察で安室透の姉は捜査一課の刑事【名探偵コナン】

□死亡の館、赤い壁
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【松「良かったな。うまくアイツ(・・・)を捜査一課にできたみてぇで」】
『ええ、本当に。彼がNOCバレした時はどうなるかと思ったけど、やっと変装術が身について別人になれるから…捜査一課で私のそばに置いておいた方が何かと安心だし』

零那は停車している自身の愛車の中で同期で透香としての相棒バディでもある松田と電話をしていた。
零那の乗る車のサイドガラスがノックされる。そちらを見ると1人の男が立っていた。零那が確認した後、その男は断りを入れながら彼女の車に乗り込む。

『じゃ、私はこれで』
【松「非番でもそいつと一緒か。…ま、頑張れよ」】
『えぇ。それじゃ』

零那は通話を切った。

?「松田か?」
『えぇ。意外とあなたのことが心配なのよ、ヒロ』
景「そうか?でも、車を出たら緑川の方で頼むぜ?零那」
『分かってるわよ』

彼の名は緑川晃斗。本名を諸伏景光といい、警視庁公安部に所属する警部で組織に潜入していたのだが、NOCだということがバレてしまい偽装死を施し組織から逃れ、変装をして警視庁の捜査一課の警部補として所属している。

景「…で?何で非番なのに俺を呼んだの?」
『ん?…ああ、これからヒロの事も世話になるからね。毛利小五郎は知ってるでしょ?彼と彼の所に居候している少年と今後の為にもコンタクトを取っておこうと思ってね』
景「なるほどな。つまり今向かってるのは毛利探偵事務所か」
『えぇ』

それから数時間後、零那と景光は透香と晃斗として毛利探偵事務所を訪れた。しかし、そこには既に先客がいた。
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毛利探偵事務所には長野県警の捜査一課に所属する大和敢助警部と上原由衣刑事、そしてその2人に途中で拾ってもらった阿笠博士と灰原哀が来ていた。

阿「冗談にも程があるわい。半殺しとか皆殺しとか言ってるし…」
上「あぁ…きっとそれで私たちを危ない人と勘違いしてお金もないのに逃げたんじゃないかと思って探してたのよ」
阿「勘違い…?」

大和が毛利小五郎のデスクの上に置いていた包みの結び目を解く。

大「半殺しっていうのは……この牡丹餅の事だ」

大和は風呂敷に包まれていた重箱の蓋を開け、中の牡丹餅を見せた。

蘭「わあ!美味しそう!」
上「ええ、敢ちゃんの牡丹餅はおばあちゃん仕込みだから、天下一品よ!」
灰「で?何で牡丹餅が半殺しなわけ?」
コ「あぁ、それは…」
?「牡丹餅は餅米を半分潰して作るから、半殺し」
?「ちなみに全部潰す皆殺しは、餅のことだよ」

皆は急に聞こえた別の声に驚いて、声の聞こえた入口を見る。そこには金髪碧眼の女と茶髪黒眼の男、2人が立っていた。

コ「あれ?たしかお姉さんって警視庁の刑事さんだったよね?隣の人は…」
『「そういえばあの時は名乗ってなかったですね。私は警視庁捜査一課強行犯三係の安室透香警部補です」』
晃「俺は初めましてだけど同じく、緑川晃斗です」

2人が名乗ると、小五郎は話を元に戻す。

小「…そんで?長野でなんかあったんすか?わざわざ牡丹餅持ってきただけなんて事ァないでしょう」
上「あぁ…実はどうしても解けなくて、知恵を借りに来たんです」
大「血塗られた…あの赤い壁の謎がな」
小「な、なんだって?!」
コ「(血塗られた赤い壁の…謎?)」
『「血塗られた赤い壁…」』
晃「透香…?」
『「すみません。その赤い壁の謎、私たちも行っていいですか?」』
上「えぇ…別に構わないですけど…」
晃「あ、今日は俺たち非番なんで」

こうして、透香と晃斗はコナン、小五郎、蘭と共に大和と上原について行き長野へと向かった。
透香達の前には大きな館、名を「希望の館」。しかし、今では3年前に倉庫にて女性が死亡しているのを発見されてからは希望ならぬ「死亡の館」と呼ばれている。
皆は中に入り、大和に指示された上原は小五郎たちに館に住んでいた6人の名前入りの写真を見せる。

上「1番上の写真がイラストレーターの明石周作さん。次が俳優の翠川尚樹さん。次が小説家の小橋葵さん。ファッションデザイナーの山吹紹二さん。CGクリエイターの百瀬卓人さん。最後がミュージシャンの直木司郎さん」
小「皆どっかで聞いたような…聞かないような名前だな」
蘭「そういえば…さっきから気になってるんですけど何なんですか?これ…」

蘭は1つの部屋の扉の前に立つ。

蘭「部屋の扉に貼った色紙を剥がしたような跡がありますけど…」
小「そういやァ、こっちの部屋の扉にもそんなような跡が」
上「あぁ、それは多分…」
コ「色で分けてたんじゃない?」
小「色?」
コ「きっと、色紙を貼って自分の部屋の目印にしたんだと思うよ。6人とも名前に色が入ってるからさ」
小「バーカ!写真に名前が貼ってあるが色の字が入ってるやつなんて…」
『「字じゃなくて音、でしょ?コナンくん」』
コ「う、うん」
蘭「あ、そっか!明石周作さんは赤!翠川尚樹さんは緑!」
上「その通り。小橋葵さんは青。山吹紹二さんは山吹色」
小「百瀬卓人さんは桃色。直木司郎さんは…白か」
蘭「ね?6人とも色が入ってる!」
上「さすがね、コナンくん」
コ「アハハ…」
大「部屋だけじゃなく、その6人は自分らを何かと色で区別してたみてぇだぜ」

大和は右ポケットから紙を取りだし、「見ろ!」と皆に見せる。それには「6月の食事当番表!」と書かれていた。

大「この家の倉庫からでてきた古い食事の当番表だ。書いてあるのは6人とも名前じゃなく、色になっている。ひょっとしたら、実際に自分らの事を色で呼んでたのかもしれねえな」

そして、大和に続いて透香達6人は階段で2階に上がる。

晃「それで、遺体の発見された部屋っていうのはどこなんですか?」

大和は紙を右ポケットに折り畳んでから仕舞うと、6人を「こっちだ」と案内する。
2階に上がると、廊下の突き当たりに4つのダンボールが2段に積まれた台車があった。

小「その台車に山積みになったダンボールは何なんだ?」
大「中身は本だが…ビッシリ詰まっていて相当重い」

置かれたダンボールは大きく、左に曲がるのに横を向きながら進む。そして、大和は1つの部屋の扉の前に立つ。

大「外開きのこの部屋の扉がこの台車で塞がれていたんだよ。部屋の中の人間が…死ぬまで出られないように」
小「じゃあ、その部屋が問題の…」
大「ああ」

大和は自身のハンカチをドアノブにかけてから扉を開ける。

大「俺たちが来た時には、すっかり痩せ細って餓死してたぜ」

大和は扉を完全に開け放つ。

大「このおぞましい…赤い壁の部屋でな」

大和の言う通り、その部屋の壁の大半が赤く染っていた。
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