ma

□身長
1ページ/2ページ


「ねぇ、土方さん」

「…あ?」


久しぶりに総悟が家に遊びに来た。
総悟は隣の家に住んでる中2の男の子で
キラキラした栗色の髪に大きな瞳。
女に間違われることも少なくは無く、黙っていれば可愛いのだが、口を開けば暴言ばかりで可愛いくない。


「なんだよ、こんな時間に」

時計に目をやると時刻は昼の12時を回った所だった。

「土方さんっ、大人になったら皆大きくなるって言いやしたよねっ」

「…ああ、言ったような気も、しなくもない…」

いつの話だよ。

っつかそういえばこいつ中2になってもまだまだちっこいな、
そう思い俺は総悟に近づき、自分の身長と比べてみる。
10センチは違うな、これ。

……あ―……。嫌な予感。


「俺、もう中2なのにまったくのびませんぜ!」

あ、やっぱり

「あのな、総悟」

総悟の目線に合わせ軽くしゃがんで、ポンポン、と頭を撫でた。

「中学はな、これから伸びるって時期なんだよ。」

「そうなんですかィ!?」

総悟は大きな目をさらに見開いてキラキラと輝かせた。

ん―…

『今のまんまで止まるかもしれねぇ』なんて言えねェ……。


「つ―か、なんでそんな身長伸ばしたいわけ?」

「あの人みてぇになりたいんでさ」

「…あの人??誰だよ。」

「土方さんといつも一緒に居る
銀髪の人でさァ!」

その一言を聴いて、少し気分が重くなった。

「………。
…ああ、あいつか。」

俺は、モヤモヤと心が落ち着かないまま続ける。

「なんであいつなんだよ」

すると総悟は立ち上がり、『秘密でさァ』とだけ残して自分の家に帰っていった。

「あいつが、好きなのか」

総悟が誰を好きであろうと、
気にすることは無いはずなのに、
何故か胸が締め付けられた。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ