ダイアモンド・クレバス

□ふたりぼっち
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「───自宅まで、」




門に組の車を呼びつけ愁哉を抱えたまま乗り込む。
何か言いたげな組員に行き先を短く告げ、愁哉に無理を掛けない体制を取り直し窓の外に目をやった。



きっと──いや、確実に玖哉兄様は愁哉を取り戻しにくるだろう。

こんな小さな身体が悲鳴を上げている。
大切に出来ないのならば。



「あなたに此奴を──」



その先の言葉を零さずにそっと愁哉の頭を撫で、移り行く景色をただ眺め続けた。







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