キリリク小説

□赤と黒
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「う、あぁああぁっ!!」



電子レンジは意外と何でも爆発する。


それを知らなかった自分を情けなく思ったのは、日曜の朝。


朝食……─?
いや、不動がまだ起きてなかったからもう昼食だったと思う。


とにかく盛大な爆発音に、俺は思わず雄叫びを上げてしまったんだ。





‐ルージュ&ノワール‐




「───零っ!!」



まだベッドの中にいたはずの不動が、俺の声に反応してキッチンへと駆け付けてきた。



「……何だ、…これは」



でもその光景は、悲惨で。

爆発して備え付けの台から落ちた電子レンジ。
料理中だったから出しっぱなしのまな板や包丁、それに食材やフライパン。
その横で尻餅をついて狼狽えている俺。

思わず不動も佇んでいる。



「ご、ごめん……」



唖然としている不動に、とりあえず謝罪の言葉を述べる。



「一体何をしたんだ…」


呆れたように溜め息をつきながら吐かれた言葉に、言い返す術もない。


「だって…昼飯……。」



不動が起きる前に作ってやりたかったのに。
昨日も仕事で遅かったから少しでも多く寝かしてやりたかったんだ。

それを口に出さずに飲み込んだ。
おそらく表情で不動もわかっただろう。


「仕方ない、出掛けるぞ」

「え──?」


出掛けるって今から?
不動絶対疲れてるだろ。


「デート、だ」


ふっ…と笑みを零しながら告げられた言葉に、耳を疑った。


「デ、デートぉ!?」


自分でそう口に出せば、顔が赤くなるのがわかる。
だって不動とデートなんて初めてだし、それに出掛けるのもまだ1、2回しかないんだから。



「着替えてこい」



不動の言葉に、まだ赤いままの顔を隠しながら俺は着替えるためにクローゼットへと走った。



「何着よう……」



何かいっぱいあり過ぎてわかんねぇや。



「コレでいいか」


結局、この前祈さんに見立ててもらった服を着ることにした。

でも不動となんて緊張する。

そんなことを思いながら、俺はマンションを出て車へと乗り込んだ。








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