WORLD OF THE VOICE

□確信‐conviction
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龍咲組で不穏な動きがあるのは知っていた。
それが、俺を狙ってのことだということも。

だからこそ、零を一人にさせるべきではなかったんだ。

俺の油断が今回の最大の原因。





『そっちに零いる!?』


仕事が一段落して息をついたとき、けたたましく携帯が鳴り響いた。

相手は酷く慌てた様子の鷹矢。
偶に取り乱せば、鷹矢は昔の様にタメ口になる。

零はいるか、と問われ不在だと返す。

送り迎えは望に頼んだはずだ。


『望に連絡してもいないって!…もしかしたら…─』



嫌な予感が脳裏を過ぎる。

まだ何か言っていた鷹矢を無視し、電話を切る。



『…もしかしたら、浚われたかも…──』


その言葉に、苛立ちが増した。


「仁、車を回せ。それから零の携帯に連絡して、位置を確認しろ」


短く告げてオフィスを出る。

後ろでは仁が祈に連絡を取っていた。


何もない。
思い過ごしであってくれ。


「不動さん、携帯の現在地は自宅のマンションになっています。零君の所在を…白虎会以外の系列でリストをあげて、調べさせます」


俺の雰囲気を読み取ったのか、事務的に素早く仁が告げる。

──白虎会以外…?


「いや、白虎会の系列で…龍咲んとこ叩け」


「…わかりました」


疑問の眼差しを残したまま、仁は再び携帯を手にした。


確信はない。でも、何故か龍咲組が頭に浮かんだ。


急いで車を走らせて自宅のマンションにつく。

勢いのまま寝室の扉を開ける。

そこは今朝と同じようにシーツの整えられたベッドがあるだけ。
そのサイドには零に渡した携帯が置かれていた。


「…ッ!…やッてくれる」


確実に、潰してやる。

零に何かあったいたら。


「…龍咲の名義でホテルを一室所有しています。大通りを抜けたビジネスホテルです。」


後ろにいた仁が携帯を片手に俺に告げる。

龍咲組はホテルの経営には手を出していない。
つまりはわざわざ買い取ッたというわけだ。

あそこは隠し物をするには丁度いい。


「祈、望、叶に連絡をとれ。すぐに向かう」


短く告げてマンションをあとにする。
徐に携帯を取り出せば、着信が一件。
相手は玖哉。


「なんだ、」


不機嫌にそう言ってやれば、ヤツは低く笑った。


『俺が時間を割いてあのガキの居所を掴んでやったんだ、下手な真似をしてみろ、タダでは済まさないぞ』


そう、玖哉は経済関係や情報性については祈の次に長けている。
どこで覚えたんだか。


「半分は、うちの祈だ。」


からかうように行ってやれば、ヤツもまた笑った。


『随分と余裕だな。あの男がチェックインしたのは四時過ぎ。もう三時間はたっているぞ?』


──もう犯されているかもな。


「仁、急げ」


仁を催促しながら、さっきの玖哉の言葉を思い出した。

頼む、間に合え。


ここまで執着したのは零が初めてだ。

それほどまでに、俺は、零のことを…───







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