ダイアモンド・クレバス

□ふたりぼっち
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「ありがとう」



マンションの前で車を止め、また愁哉を抱え降りる。
お気をつけてと告げた組員に礼を返し、オートロックを解除してエントランスホールを抜けエレベーターへと乗り込んだ。




「ふー…──」




息を吐く。
俺はそんなに強い人間じゃない。
此奴だけはそれをわかってくれた。
俺の唯一の親友。
気を張って生きるのが、どれだけ辛いか俺にはわかる。
此奴にはそんな思いをさせたくないんだ。



「玖哉兄様の…馬ー鹿……」



最上階まで続く長いエレベーターの中、天井を見上げ呟いた俺の言葉は、愁哉以外、誰の耳にも届くことはなかった。








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