侍魂

□キスからはじまる
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ガヤガヤと、教室の中は騒がしい。今日も至って普通の一日になるだろう…そう思っていた俺の思考は、いとも容易く崩されることになる。

そう、あのほんの一瞬の出来事によって−

(今日もダリィな…)
フケてやろうか、そう考えていると、銀八が大きな欠伸をしながら教室に入って来た。

「出席とるぞー、席着けー」

ボサボサの天パな銀髪に楕円形メガネ。白衣を羽織り、安物だと思われるサンダルを履いている。極め付けは、口に咥えたペロペロキャンディー。
…これで本当に教師だと言えるのだろうか。
こんなことを考えていたものだから、銀八の声に気付かなかった

「…た。・・じかた。土方ってば!」

バッと顔を上げると、そこには銀八のどアップが。

「なんだ…銀八か。何か用か?」
「何だってねぇ…」
ハァ、と軽くため息を吐く銀八。

「先生ぇー土方殺していーですかィ?」
いきなり前から不気味な言葉がかかってきた。顔をあげると、そこには総悟がいた。
「お前に俺が殺れるワケねーだろ」
ハッと鼻で哂うと、総悟はバズーカを構えた。

(ちょっと待てオイ、アレって確か最新式のヤツじゃねーか?)
どうせ近藤に買わせたに決まっているが、それにしても手が早い。
(感心はする…が、まだ殺られるわけにはいかないんでね)
反撃しようとかまえると、その前に銀八に止められた。

「お前らいー加減にしろー。さー、授業はじめっぞー」

「チェッ、殺りそこねた…」
そんな舌打ちを軽く無視し(一々気にしてたらキリが無ぇからな)、寝る体勢に入る。授業なんて聞く気は無い。第一聞かなくても分かるし、この3Zでマトモな授業が出来るとも思わない。

そして数時間後−
土方は誰かに揺り起こされた。
「んぁ?誰だよ…なんだ総悟か。どうした?」
揺り起こした張本人は総悟だった。
「なんだ?じゃありやせん!早く起きて下せぇ!!これじゃあいつまで経っても帰れやしねぇ」
焦った様子で急かす総悟。(そういや今日は総悟が日直だったな)不思議に思い教室の壁に掛かった時計を見る。
「あぁ、もう放課後か。ゲッ、最終下校までもう10分も無ぇじゃねぇか!急ぐぞ総悟、ほら−」
立ち上がった際に総悟の手を引く。その時、びっくりして総悟が躓いた。

「え・・・?」
「うわっ!?」

チュッ

嘘だと思いたいが、俺と総悟の唇が重なった。でも、それはほんの一瞬だった。それは総悟が突き放したから。

「っ・・・///」
ドンッ!
総悟にありったけの力を込めて押される。そして総悟は真っ赤な顔をして走り去った。

そこに残ったのは、呆けた顔をした土方と、最終下校を告げる筈の鐘の音の余韻だけだった。

「今の…何だったんだ?」

口ではそんなことを言いながらも、口元には微かに笑みが浮かんでいた。

だが、その理由を、土方はまだ、知らない−



『キスからはじまる』
(何だ?この気持ち…)
(土方さんのバカ!鈍感!早く気付いて下せぇ!!)




















糸でございます。今回は友人のクラスの男子の話をネタにしてみました!

男子(Aとします)がもう一方の男子(Bとします)にふざけて顔を近づけていたそうです。それが本当に至近距離になり、唇がくっついてしまったようで。

それを聞いて使えるんじゃない!?とか思ってこんな形の妄想の具現化と相成りました。

今回のお話は、無自覚土方&片思い総悟です。これは両思いになるまで書くつもりです。目標はですね…
1.総悟を泣かす
2.土方を焦らせて切羽詰った状態にさせる
…の2本です(サ●゛エさんか)

どうか見捨てないでやって下さいませ。
では。


             糸拝
 

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