銀魂文

□そこら辺がたまらない(土銀)
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「…クッション?」
「ん?」
いきなりたずねて来て、寝転がった土方の頭の下に大きいフワフワのクッションがひとつ。
どうやらオフらしい。
すぐ寝そうになった彼に、そこだけ突っ込みを入れてみた。
すると、少し眠そうに起き上がった土方はクッションを手に笑う。
「ああ…だって枕になりそうなもん無いから、マイクッション…」
「無いからって、おい、ここはホテルじゃないぞ」
「だって、総悟が邪魔して寝られねぇから…お前のところしかない」
そう言ってまた寝転がる。
目を瞑ってクッションに顔を埋めた土方に銀時は流石にムッとする。
「…あ〜?何を生意気な事を言ってんだ!起きなさい!トシ君!!!」
「…煩い、お前も寝てろ」
「うわっ」
土方を起こそうと彼の肩に手を掛けていたそれを引かれ、その上に倒れこむ。
抱き込まれる形で収まった銀時の背中を優しく二回叩いてため息をつく土方。
銀時は憮然としたまま取り敢えず不自然な体勢を整えた。
「…狭い」
「いいだろ、嬉しいなあ銀時と密着〜…」
「なんかお前らしくないねその言いか…」
言い方が間延びしているのに気付いて覗き込んだ銀時だったが、土方は既に寝息を立てていた。
そういえば、きたときから既に寝ぼけ眼だったような気がした。
相当眠かったのだろう。
しかし、まさかココまでくるとは。
沖田は相当苛めているのだろう。
それとも構って欲しいだけか?
なんにせよ、彼は眠いらしい。
それを無碍にすることなど出来ない。
「…まあ、寝るといいさ」
「…銀時…」
「…寝言かおい…」
腰に手をまわしたまま意外にがっしりと掴まれている。
動けそうも無い。
銀時は暫らく土方の胸に頭を置く。
心臓の音が規則正しく耳を打つ。

なんだか、穏やかな空間。
土方の手は温かい。

「…あ、やば、眠い…」
銀時はそう言って、土方の心音に誘われるように眠りについたのだった。
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