銀魂文

□雨宿り(土銀)
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「なあ、銀時、もういいだろ」
「は?」
「白状しろ」
「…」
「好きなんだろ、俺の事」
雨音が強くなる。
なんてタイミングのいい。
銀時はそう思って、その雨のうるさ過ぎる音に声を乗せた。
「…好きだよ、好きだって思い始めた」
本音だな。
土方は銀時の声のトーンでそれを感じてから、銀時の横に立つ。
必要以上にくっつかないように、彼の中で、自分の存在は微妙なものである事を知っているから。
横に、少し離れて立った土方に、銀時は微笑んで少し近づいた。
「こんくらい、でいいかもよ」
「そっか、こんくらいでいいわけか次は」
「面白いな、お前」
肩に銀時の肩の温かさを感じるくらい。
今まではしない、銀時の匂いを感じるくらい。
ホッと、息を吐いた銀時を見て、土方はようやく答えを聞いてくれる雰囲気を出した彼の頭を小突く。
「俺は別に勘違いなんかしてない」
「…へえ」
「お前に接する、度合いがわからないだけだ」
「…あ〜そう」
間延びした声に土方は肩をすくめる。
「俺は、お前みたいな人生どうでもよいですフワフワ〜な奴、初めてだからな」
「…」
「なんで、お前なんか、みたいなことを思ってやまないが、好きなんだから仕方が無い」

率直な告白だな。
髪もフワフワ、態度もフワフワ。
悪かったな。

「トシ」
すこし、文句を言おうかと口を開くと、土方は嬉しそうに笑う。
「そうそう、たまにそう呼ばれると、たまんねぇのな」
「ああ、そうですか」
文句の出先をくじかれて、少し黙り込んだ後、土方は部屋の時計を見て、背伸びをした。
「な、屯所来ない?」
「…何言ってんの?」
「いいから、来い」
「…引かないつもりだな、わかったよ」
「よし」
土方が腕を触って笑う。
この傷も、まあ役立つか。
でも、アイツがあんなに心配するなんて。
本当に、アイツを勘違い、してたかも。
もっと、こうサバサバしていると思ってた。

書き置きをしているらしい銀時に土方は話しかけずに玄関まで歩く。
それに気付いて、急かしい、と言った銀時に笑って煙草に火をつけた。
一度吸い込んで、紫煙を出した後、土方は後ろに立った銀時に振り向く。
「なんか、いいなあ、これ」
「は?」
「奥様と一緒?」
「…バッカ、お前本とバ…」
顎を掴まれてキスをされる。
少し荒っぽいキスだな、と感じて目を瞑ると少しの息苦しさに、唇を離した間から息を吐く。
長い。かも。
と感じた時に離れたキス、土方の細められた目に少しだけ胸が高鳴る。
「…綺麗な顔してる」
「ありがとよ」
「…トシ」

深いキスの後は1回軽いキス。


それに、二人は満足して、離れた。


「さて、行くぞ」
「はいはい」
手を引かれて、土方が開いた傘を持つ。
「ちょっと、俺も傘を…」
「おお?俺と相合傘は嫌か?」
「嫌ってワケでは…」
「じゃ、このまんまでな」
「はあ…」
気を良くした彼を、不機嫌にさせるわけにもいくまいて。
銀時はそう思って土方の横に立つ。
結構大きい傘に当る雨音が煩い。
話なんかしても聞こえなさそうだが。
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