銀魂文

□近藤さん(土銀)
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「惨めだ」

惨めだ。

近藤は凄くいい奴だ。
ストーカーを抜けば。
もしかしたら自分もアイツとなら一緒に戦っても良いかもなって思ってみたりする。
もっと早く出会ってみたかったかもしれないとかとも思える。

自分らに比べて。
真選組ってなんか、綺麗だ。


空一面、水色の中に月が見える。
薄らってる。
透き通って見える。
綺麗だ。





「おお、昼の月もまた格別だな」
「!」
「よ、坂田、探したぞ」


声が聞こえて、顔を上げて。
声と同じく明るい笑顔の主に、銀時は情けない顔を作ってしまった。
「なんだよ、ゴリラちゃん」
「…近藤だっつの、どうした、川は気持ちいいか」
「ああ」


川に足を突っ込んでいる状態。
その状態で自分がいたことをすっかり忘れていた。
「銀時、悪いな、俺邪魔して」
「…何?」
「トシ独占して悪いな」
「…別に…その通りだけど…」
「でも、トシはそう簡単にあげられないんだよな、これがまた」



だから!!!お前は関係ないって言ってんだよ!!!
今の銀時の言葉!
確かに、アンタは大いに関係ある。
でも、俺はアンタを蔑ろにしたくない。
アイツにとって、アンタの存在が煩いのは。
アイツの道が、俺たちの立って歩いてきた道と違うからだ。

だから、アンタには関係ない。

ごめん。

ごめん。
それでも、俺、銀時も蔑ろにしたくない。



「あんまりしつこく聞いちまったら、辛そうな顔で言われた」
「流石、良く聞き出せるもんだ」
「まあ、俺には何でも話すから、でも俺だけじゃダメだと思っているから」
「…」
そよそよ。
今、風の吹き方を表現したらそんな感じだろう。
なんか、近藤の台詞にそぐわない。のどかな音。
寝転がっている近藤の表情が気になって銀時は身を起こした。
覗き込んできた彼に、近藤は視線を合わせたくないように、目を瞑る。
「いつも一緒に居て一番近い、言い換えれば、一番失いやすい」
「…」
「俺は、トシを一番泣かせそうな人間だ」

近藤を失う?

土方に聞かせたら怒り狂うな。
それに、泣くかも知れない。
割とクールな感じで情熱派だから。

俺も、コイツの顔見られなくなるの嫌だな。

「…辛気臭い話はやめない?」
「お前は、トシの何になる?」
「…えと」
ぐうの音もつけない。
腰の座った奴ほどこんな感じ。
同じくらいの歳の癖に、言葉に重さがあるから、心の中にガンガン入ってくる。
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