銀魂文

□大切なもの、帰る場所(山新)
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そう考えている間に戸の外に人の気配を感じる。
おずおずと開けて顔を覗かせた新八に山崎は笑って手招きをした。
「あの山崎さん」
「ん〜退で呼ばなきゃダメです」
「…退君」
「はいっ…あ、あれ?!」
そのままいきなり泣きそうな顔から泣き顔に変わってしまった新八の顔に、山崎は慌てて着物の袖を彼の頬に当てる。
「ちょっと、新八君!」
「ごめんなさい、僕のせいで…」
泣くというより、涙が溢れてきたというような感じ。
元々、泣くタイプの人間ではないのだから、戸惑っているようでもある。
「退君…ご、ごめん、泣い…て…もしょうがな…いのに、ごめ…んなさい」
ポタポタと布団に落ちる涙が止まる気配はない。
鼻を啜っている新八に、相当怖い思いをさせたのだろうと、自分を責めて、山崎は新八の頭を撫でた。
「ごめんね、怖い目にあわせて」
「違う、怖い目なんてもう一杯遭ってるよ!そんなんじゃないよ!」
「…え」
「退君が、退君が…死んだらどうしようって…そっちのほうが…怖いよ…」
「…」
涙で曇ってしまった眼鏡を外して、目を擦りながらそれでもまだ出る涙に山崎は新八の頬に触れた。
それに気付いて見上げてきた新八の唇に自分のそれを重ねる。
「!」
突然の山崎の行動に、新八は元々大きな目を更に見開く。
同時に止まってしまった涙を見て、山崎は微笑んだ。
「泣きやんだ?」
「そ、そそそ、っこ、ここは…」
「慌てないで、大丈夫だから…」
「大丈夫って…ななな何が…」
「新八君、今日は新八君を守れてよかった」
動く左腕で新八の体を引き寄せる。
怪我をしていない左の肩に顔を置かれた新八はまた泣きそうになって目を瞑る。
「生きてた、またこうして触れた、こういう実感は、感じると嬉しい、けど感じる時は怖い時だ」
「…」
「俺、こうやって新八君といるだけで幸せだからね」
「退君…」
そういってニッコリと笑った山崎に新八はまた泣きだしてしまった。
それをとめるように、山崎は彼の頬を撫でる。
「…ダメだよ、そういう風に泣かれたら」
「…?」


そういった山崎が、もう一度強く抱きしめて同時に降らせた少し深いキス。

生きている実感。
それは君といると良く感じる。


なんか、聞いたことある。
帰るところがあるから戦えるって人の話。
今まで、自分にとって、それは真選組の皆の所だったけど。

いまは、もしかして、君かもしれない。
いや、間違いなく君だな。

こんな自分のためにこんなに泣いてくれるんだ。
俺は、さっき人を殺めた。
君は多分、今にそれ、思い出すかもしれないけど。


お願いだから。

それでも、自分の側にいてほしい。



俺の、大好きな、帰る場所。



END



新ちゃん助けようとして怪我、ていうか、あれ、なんかそんなでもないようなそんなような。
相方に500のキリリクお願いしてみたら、山新て言われてビックリしたよ。
近土に命かけてると思ったのに。いや、私も近土好きだ、いや、前にも増して好きだから。

って、これは山新の小説だってば!
ええと、山崎の私の中の位置付けは結構男前?
彼に人を殺させたなとか思ってしまった私ですが。
山崎はあの真選組の中では強さに関しては弱い方だと思います。
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