銀魂文

□髪1(土銀)
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おいおい、なんかギャラリーいるだろ、それはないだろ。

つまり、唇と唇が重なった状態。
声が出せないのは当たり前。
思い切りキスをされた土方は、唇に吸い付いたままの銀時を急いで引き放す。
「うおい!!!」
「強攻策だ…もうなりふり構っていられるか、お前のその髪型は強制執行して然るべきだ」
「おーいーわよーん、いけーパー子いけー犯しちゃえ〜!!!」
「応援するな!おいお前ら!!!てかパー子って何?!」
「無法地帯だ、観念しろ土方…」
膝の上に乗っている銀時の表情が何故必死なのか。
そんなこと、今の土方には考えられるわけもない。


どんな形にしろ、銀時から、キスが降って来たのだ。


その柔らかさを思い出して再度銀時を見ると、彼は髪をセットしている最中だった。
「ええ?」
「だから、パー子ちゃん」
「…なに?!」
「ココでバイトしたときの名前は〜パー子ちゃん」
「…パ…それって頭パーのパー子か?」
「違う!天然パーマのパー子だ!!!」
「はいはい着物〜」
マドマーゼルから、可愛い着物が手渡される。
銀時は少しため息をついてから、それに着替え始める。

目の前の良く分からない状況に、土方は流石に引きつる。

数分後、着付けの終った銀時の様子は少し、割と体格がいい、でも、可愛い、背の高い娘。



「…ええと…」
「ははは、凄いだろ、可愛いだろ」
「ああ可愛い」
「…ええ〜…」
感想がそれだとは思わなかった銀時がショックを受けたようだった。
ヅラのほうがよっぽど美しかったぞとか、そう思ってから、自分を鏡で見て頭を掻く。
「可愛くねーよ」
「いや、俺にとっては可愛い、まあ元のお前の方が好きだけどな」
「…」
「おい〜二人の世界つくっちゃいや〜よ?」
西郷のツッコミが入って二人は見合わせた後、苦い笑いを浮かべたのだった。


◆◆◆
「しかし、隊服に似合わねーな、この髪型…」
「ははは、言えてる〜」
ポニーテールの土方。
いつもは少し髪に隠れて余り見えない首が見える。
あのむさ苦しいところではなんか、目の保養だったのではないか?
そう思ってから、銀時は少しムッとなる。
「…土方」
「え、何?」
「お前、昔は着流しでそれだったわけ?」
「ああ、そうだな」
「…そか…」
「着物着ろというわけか?」
「い、いや、え、分かったの?」
振り向いた先、銀時はパー子のまま。
なんか、俺はオカマをつれて歩いているという風に見えているのだろうか。
そう思ってから、土方は頭を掻いた。
「どうすっかな、着替えるか」
「…仕事は?」
「ああ、今日は早番だから、ついて来い」
「おお…」
そういった土方に手を引かれる。
それを払おうとしたが、銀時はそのまま歩いた。
「なんか〜いいなあ、おい」
「何が?」
「お前が女なら、もっと色々したいがな」
「…街中でいちゃいちゃタイプの土方さんならパー子嫌いになっちゃう」
「そうだろうな」
「…でも、手繋ぐのは、まあいい」
「…そうかそれはよかった」

なんだこれ。
俺らって今。
ちょっと、ラブラブ?
俺らって今。
ちょっと馬鹿みたい。

そう、同時に思って笑いが漏れる。

似合わない、俺ら最高に今似合ってない。
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