銀魂文

□髪1(土銀)
3ページ/6ページ

◆◆◆
「うわあああ!トシが〜!」
近藤が叫び声をあげる。
目の前にタイムスリップ土方。
もう一人、女…の子?じゃ、なくて。


「銀時ィ?」
「え〜?私パー子よ?誰あんたゴリラ?」
「いやいや、銀時だな銀時だろ」
「近藤さん、それ以上、突っ込まないでくれ笑えるから」
「銀さん、今は休業中なの〜」
ブリっ子状態でそう言う銀時に近藤は笑ってしまう。
「お前ら、ある意味今お似合いだぞ、おい、トシ、着替えろよ似合わねぇよ、それ」
「そうですかね、やっぱり」
「ああ、その髪型なら、着物のほうがいい、てか懐かしいなあ」
「はは、懐かしいかやっぱ」
「…」

懐かしい。

ああ、やっぱり言うと思った。
銀時はそう思って、真選組の屯所を見る。
そして、他愛もないように話題を口にした。
「ココに来た時にはもう髪、切ってたのか?」
銀時のいきなりの問いに、土方は少し考えてから首を傾げた。
「忘れた、でも、最初は長かったかもしれない、あの隊服見て変えたもんな…オレ」
「そうそう、バッサリと」
「俺の髪をバッサリと最初にやったのは総悟だろ、アイツめ、今思うと非常に腹立たしい」
「ああ、はさみじゃなくて、刀で思いっきり」
「絶対あの時何本か抜けた、ああ、もう思い出すだけで痛い」
「へえ…」

よくもまあポンポンと思い出話が花を咲かせるものだ。
銀時は胸の中が少し暗くなった。

「いい、なぁ」

そういうの話せる友達がいるってのは。


俺、よく考えたら。
思い出話咲かせる人、そういう人が余りいない。



「何か伏せ目は美人に見えるぞ〜?」
「え?」
ぼんやりと考えていると、いきなり話しかけられて銀時は顔を上げる。
見上げた先の近藤は楽しそうに、それでいてちょっと興味津々な表情だった。
「こ、近藤さん?!」
少し近藤の発言にうろたえた土方を他所に、話はエスカレートしていく。
「もっとこう、ほらほらこの角度」
「…こ、こう?」
「おお、それ、それなら落とせるぞ男」
「いや、でもこの角度を見下ろせる奴なかなかいないと思わない?ねえ」
「そうだな、それもそうだ、おお、俺役得だ、美人見放題」
「ドキ、やだ、近藤さん、パー子惚れちゃう」
「そんな、トシのライバルはやだなあ、そだ、隊士なら総悟以外誤魔化せるかも」
「マジでか?!あ、でもやだな、俺の美貌が皆を惑わせちまう」
「ああ、大変だそれは不味い、でも面白そうだろ」
「あはは、しかしあの量とムサさを相手にするのはちと荷が重い」
「そおか、残念」
「何が残念だよ、あ、そうだ踊り披露してやる、題してやる気無し音頭」
「それをやる気満々の真選組の前でやるのかよ」
「でも可愛いよ〜お尻振るよ〜」
「あ、見たい」
「バカか、見たいのか」
「ははは、ウッソ〜」
「嘘でよいっつの」
会話のテンポがなんとも楽しそうだ。
その中で徐々に銀時の顔が先程よりも明るくなる。
土方はそこまで黙って横で話しを聞いて、いきなり戯言を口にした近藤の真意を悟る。


あ〜あ、なんだよ、簡単に銀時取られた。


本当に、いい人なんだよなアンタは。


少し、妬ける。


と思いつつも、なんだか楽しい二人の会話を聞いていると、近藤は手を叩いた。

「…銀時、俺の好みとしては〜」
「何々?」


楽しそうに銀時が聞き返して、その後、近藤は意地悪げに笑ったのだった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ