銀魂文

□髪1(土銀)
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◆◆◆
「あっはははは、今度はお似合いだな」
「笑うなよ」
「土方…」

着流しの、少し色気がある髪の長い、土方。
目の前に出てきたとき少しびっくりした。





ああ、これが昔の土方かあ…。





こっちのが俺、好みかも…。





「何だ?」
「え?」
穴が開く勢いで見つめているパー子、もとい銀時に土方が照れくさそうな顔になる。
見つめていた事を指摘されて銀時は一気に赤くなった。

その反応は、銀時のものにしては最上級に珍しいもの。



「おい、銀時、耳の先から首まで赤いぞ、どうしたんだ?」
近藤が土方にそう言う。
土方はその問いに曖昧に笑った後、湯気が出そうな目の前の銀時が落ち着いてくれるのを待つ。
「ああ、暑い」
「今日は寒いぞ」
「近藤さん…」
冷やかし面の近藤に土方はため息をつく。

珍しく、近藤がいじめっ子だ。


「しかし…銀時、どうしたんだアイツ…」
「あ、ああ〜あはは銀さんなんかもう暑いなあ…」
顔を扇いでいる銀時に土方が首を傾げる。
近藤は、その土方を見て、目を丸くした。

おや、珍しい、トシが鈍いよ。
それほど銀時にはぐらかされているってことか。
しかし、苦労する恋ほど面白いんだってのが今に分かるぞ〜?
なんて、コイツより経験浅い俺が思うのも何か。

珍しい土方が面白くて、近藤は吹き出すのを我慢して土方の頭を叩き気味に撫でる。
「じゃな、トシ」
「ああ、あれ、どこに…」
「言ってただろ、前から今日は飲み会って…」
近藤の言葉に、土方は今更ながらに隊士のいない屯所に気付く。
「あ、あ、そうだった、俺」
「良い良い、お前らはここで遊んでろ」
「でも…」
「あの銀時ほど扱いやすいものは無いかもしれないぞ」
「はあ?意味わかんね」
眉を寄せた土方に、近藤は困ったなと笑う。
隣では顔を擦っている銀時がいる。
横から見ると、頬が赤い彼は艶やかにも見える。

これは、なかなかどうして、トシが好きになりそうなタイプだ。
無意識に、この無いようでいきなり出てくる銀時の色気と雰囲気にトシは惹かれているのだろう。
昔から陥落させるのが難題な相手を好きになる傾向があるから。

でも、難攻不落に見える当の銀時は。
実はトシをすっごい好きなんだよな。

もう、わかってしまった。

ああ、羨ましい。

「…くぅ〜妬ける、どっちに妬けるか分からんが妬ける」
「は?」
近藤の言葉に土方がまた眉を寄せる。
それに答えず、近藤は彼の背中を叩いてその場から去っていった。
「お、おい、近藤さん!」
珍しく読めない近藤の様子に苛立って呼び止めようとした瞬間、その手が掴まれた。
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