銀魂文

□天―七夕@(沖+神)
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土方のその返事に山崎が新八に振り向く。
「いいんだってさ、さ、入って」
「え、でも近藤さん」
「安心しろ、あの人は断らねぇよ」
そういってタバコに火をつけた土方は未だ遊んでいる近藤に向けて声を上げた。
「おい、近藤さん!飾り付け!お前、そういうの上手いだろ?!」
「え、ああちょっと待ってて〜よっと」
「え〜終わりアルか?ケチゴリラ」
地に下ろされて少し浮遊感を味わいつつ神楽は膨れて近藤の足を踏む。
そのまま近くに居た沖田と口喧嘩を始めたのを苦笑い見てから近藤はその頭を撫でた。
「飾り付け、神楽ちゃんが居ないと出来ないんだよ、頼むこの通り」
「…仕方ないアルネ〜」


近藤さん、上手いな。


5人は神楽の扱いを遠まわしに教えてもらったような気がしたのだった。

☆☆☆
神楽は真選組では結構なアイドルである。
その愛らしい容姿から出てくる毒舌が何故か逆に良いらしい。
何より、沖田に引けを取らない腹黒さ。
故に沖田をたまに手玉に取るその様子が何故か皆のウケを更に良くしている。

そんな少女に沖田が少し惹かれていること、実は沖田自身が気付いていないという。
それが、また面白い酒の肴となっている。

そして、神楽もまた、沖田が自分に惹かれていることを知らない。
そんな言葉で彼を揶揄することはあっても、その実は全くといって良いほど気付いてはいない。
そして、それをぶつけられたら、多分惚れてしまうくらい彼女もまた沖田に惹かれている。


と、銀時は、言うが。

「あ、それ私がつけようとしてたのに、邪魔アルお前邪魔アル!」
「うるせィ!俺がこれ…あああ!お前唾つけんな!汚ね!!!」
「うるさーい!!!ペッペッ」
「やったなこのやろっ…!!!」
「うぜーよ、お前うぜーよ!!!」
「それはこっちの台詞でィ!!!」
「なーかーよーくーしろ!!!」

「「だってゴリラ〜!!!」」

「いや、ゴリラって君たち…」

そう言って近藤がまた注意しようとして、二人を見た後、その同じような膨れ面に吹き出す。
「だっはははははは!!!お前ら兄妹か?!似てんなあ!!!」
「ちょ、近藤さん!!!」
近藤が笑い始めると全体が笑い始める。
慌てる沖田の横で、神楽は同じく笑い始める。
そして、沖田も最後諦めて笑った頃、雨が降り始めた。
神楽はそれを見て、急いで縁側まで走り出した。
いっぺんの光すら通さない黒の厚い厚いカーテン。
それを忌々しげに見た後、神楽は肩を落とす。






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