銀魂文

□パフェ日和(近+銀+土)
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そうそう、トシに似てる。



礼を言う時はこんな感じだ。
素の彼は、素直に謝らないし、素直に礼を言わないし、素直に甘えないし、素直に皆に混ざってこない。
敬遠されるのはそのせいだ。
解っているがそうしない。
むしろそれを望んでいるようにも見えて。
少し心配なので昔それを指摘したら。

“いいよお前がわかっていれば”

そう、拗ねた感じで言われたことがある。

とにかくそういうところは可愛いのだが。
目の前の彼もそれの雰囲気がある。

「よ〜し、ここにしようここに」
「…」
丁度開店したらしいばかりの食事所。
「美味いんだぜココ」
楽しそうに笑って銀時の肩を叩いた近藤、その店を見上げた銀時は自分なら余り入れないだろう高そうな雰囲気に引きつった。
「い、いやいや…ちょっとゴリさん俺じゃなくてお妙でもつれて来たら?」
「は?何で?」
何でって。
と言おうとして、それを止めた銀時は苦笑いした。
「御馳走になります」
「おぅ!」

面白い奴。
銀時はそう思いながら近藤の後姿を見ていた。

◆◆◆
「お前あのマヨラーどうにかしろよ」
「え?トシのこと?」
「…そう、土方君のこと」
「…でもなあ、昔からアイツって好みの食いモンだけは譲らないから」
「…へ?」
「これと決めたら突っ走るから」
この人と決めたら突っ走る。
とも言えるか。
銀時はそう思いながら近藤を見る。
見上げられて、近藤はウェイトレスの持ってきた食事を受け取る。
「…お前は好き嫌いはどうなんだ?」
「俺?甘いものだったら何でも」
「…お前トシのこといえないぞ〜?」
「そう?」
言いながら朝からご飯のほかに抹茶パフェを頼んでいる彼。
土方もマヨネーズを持ち歩くか店に屈辱を迫るか。
「お前チューブの練乳飲むだろ」
「え、何で分かるの?!」
「…目に浮かぶ…」

イチゴに練乳。
トマトにマヨネーズ。

「全く、似たもの同士だ」
「俺と土方君?」
「うん」
「やめて〜やめて〜アイツと似ているなんていわないで〜」
「ははは」
耳を塞いでいる銀時を見下ろして、近藤は自分の頼んだ朝食を口にする。
そういえば、今日、屯所の朝食に出てない。
余りに暑くてぼけたのだろうか?
朝起きて、身支度してそのまま出てきたのだ。
「あ、朝礼サボった俺」
「え?」
「やばいなあ…これは怒る所の騒ぎじゃないぞ」
「だ、だろうねぇ…」
「?」
銀時の歯切れの悪い言い方が気になって彼の視線を追ってみる。
そして、近藤は彼と同じく固まったのだった。
「トシ…」

鬼だ。
鬼が居る。

土方の周りに出てきたオーラを見て、そう呟いたのであろう銀時に近藤は静かに頷いた。


「近藤さん!!!朝食にも朝礼にも出ないじゃ幹部に示しがつかねえだろ!!!何してんだ、しかも…コイツ…」
「…土方くぅん…近藤さんは行き倒れていた俺を救ってくれたんだよ〜」
「お前は黙ってろ!!!」
土方がテーブルを叩く。
まだ人がまばらながらも全員に注目されて近藤は声を潜めて土方を宥める
「ぎ、銀時に当たるな、俺が腹減ってたからついでに誘ったんだ」
事実無根であるが、そういうことにしなければ銀時を気に食わない土方はここぞとばかり責めるだろう。
それは余り望まないと、近藤はそういうが、何やら楽しそうにしている銀時はそれに尾ひれを付けるように口を開いた。
「そうそう、ついでに言うと土方君が来るまで俺と近藤さんは愛を語らっていたのだから」
「違うでしょ!」
「…てめぇら真面目に話をしろ…」


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