銀魂文

□パフェ日和(近+銀+土)
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土方の眉間の皺が深くなったのに気付いて近藤は銀時と共に振り返る。
「俺は真面目だ!!!」
「俺も真面目よ〜?」
「ちょっと銀ちゃん黙ってて」
「だって勲ちゃんコイツさっきからさあ…」
「近藤さん!!!」
テーブルが二度目の鈍い音を奏でる。
綺麗な拳がそのまま置かれたそのテーブル。
その目の前の二人は固まって、その後見合わせる。
「…と、トシ、ゴメンなさい…朝礼サボって…」
「ごめんなさい行き倒れてて」
「…坂田、てめーふざけるな……っか…もういいや」
そういって立ち上がった土方の腕を一瞬早く近藤がつかむ。
「朝礼の件はすまなかった、で、終ったのか?」
「ああ、まあ、いつもどおり」
「朝食も、ちゃんととったのか?」
「ああ」
やり取りを見続けて、銀時は微笑む。
この後は多分三人で朝食かな?
そう思って、銀時はメニューを眺めながらもう一つパフェを選び始める。
「お前は食ってないな?」
「!…いや、食ったよ」
「食ってないね、食ったらもっと粘るからな」
「ちげーよ、呆れてんだよ、バーカ」
「減らず口だなこのっ」
「い、いてっ!!いへー!!!」
頬を抓られている土方を銀時はマジマジと見つめる。
これほど面白いものはないだろうと言う目を向けられて土方が少し赤くなる。
「み、見るな、あああもう分かった食ってけば良いんだろ食ってけば!!!」
「「そうそう」」
土方の叫びに近藤と銀時は同時にそういって笑った。

「…近藤さん」
「なに、銀時」
「いつも食ってるとき近くにこの人居るわけ?」
「まあね、前だったり横だったり」
隣は譲らないらしいな。
そう思って銀時は笑いかけてそれを堪えると話を反芻して顔を上げた土方と目が合う。
「この人って、俺の事かてめー」
「そうですよ、この人に目の前でベチャベチャのマヨネーズご飯食われて大丈夫かって聞いてんだよ」
「全然、なんともないよ、俺としては」
「…」
ケロッとした顔でそういう近藤に土方は箸を置く。
隊士の全員が引きまくるあのマヨネーズに支配された食事を見ても、彼だけは動じない。
それを昔から知っている自分は何かそれを当然のことのように思っていたが。
たまに気を使っているのでは?と思うこともあった。
しかし、近藤は実際木を使っているわけでもなくそう言う。
こんな度量の広すぎる人はなかなかいないだろうな。
そう思い土方が少し幸せな気分に浸っていると、近藤と銀時の会話は更に進んでいるようだった。
「辛子明太子とかにかけるぞ?あとは〜結構面白い味がするから俺も何回か食ってるし」
「ほお〜…なら、俺がご飯に小豆かけてたらどうするよ」
「それはそれで個性じゃないのか?銀時は甘いもん好きだからな!」
「…」
銀時が少し驚いた表情になる。
同時、土方が嫌そうな顔をする。
小豆って。
と思い起こして頭を押さえるのと同時に、その隣にいる近藤は笑う。
「どうせならもち米にかけて食ったらどうだ?」
「?」
銀時がそれに首を傾げる。
それじゃ小豆餅じゃんといおうか迷っていると、近藤は土方のほうを見る。
「な、トシ、ほら北の方は甘い赤飯多いらしいよな?」
「俺は初耳だな…そうなのか?」
「うん!上京している団子屋の女の子に聞いた」
「甘い赤飯かぁ…」
「おお、輝いている」
土方がそう評した銀時は確かに輝いている。それに気を良くした近藤は手を叩いた。
「そだ、後でその子にレシピ聞いといてやるよ」
「あ、うん、頼む、よし作るぞ〜」
「…甘いものだけは作れるもんなお前…」
「ああ」
「なんだ、結構仲が良いじゃないか安心した」

「「どこがだ!!!」」

「どこって〜えぇ〜ウソぉぉぉ違うのぉ?」



実際、とても話が合いそうなのだが。
と言うことは銀時は自分とも意外に相性が良いのかもしれない。
そう思って、近藤は二人のテンポ良く小競り合いする会話を聞くのだった。





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