Ss

□秘すれば花
1ページ/4ページ

この恋は秘してこそ花なのだ。







「うひィぁ!?」

冷たい外の空気を遮断した窓から差し込む陽射しにうたた寝していた土方は、突然首筋を這ったぬめった感触に飛び起きた。

「隙だらけだぜェ?先生」
「高杉!」

何事かと振り返れば、そこにはしてやったりといった感じの高杉が立っていた。
察するに、首筋を這ったのは高杉の舌だろう。
不意打ちに弱い土方は、良くこうやって高杉に揶揄われる。
その度に素直な反応を返すものだから、悪戯からセックスに雪崩れ込むこともしばしばだ。

「先生が居眠りしていいのかァ?」
「今日は一限しか授業が無かったんだよ!つーか、テメェが昨日あんなにするから…」

土方は声を荒げたが、徐々に尻すぼみになってしまった。
昨日は学校が休みだったお陰で、明け方近くまでこの生徒に身体を好き勝手弄ばれたのだ。
空き時間に居眠りしてしまっても仕方ないだろう。
この目つきの悪い独眼の生徒に半ば無理やり押し倒されて、早半年。
今では何故か二人の関係は、恋人と呼ばれるものになっていた。

「俺が何だって?先生」
「うるせェ!つか、授業はどうしたんだよ!?」
「はァ?何言ってやがる。もう昼休みだぞ」
「え!?」

驚いて腕時計を見やると、確かに針は昼休みの時刻を指していた。
一限目の授業をこなしてから、ずっと寝ていたらしい。

「昼飯買って来たぞ。どうせ用意してねェんだろォ?」
「あ、ああ。サンキュ…」

朝は遅刻ギリギリに起床した為、弁当の支度をする時間が無かった。
高杉が来なければこのまま寝倒して、空きっ腹で授業をする羽目になっていたかもしれない。
妙なところで気の利く高杉に礼を言って、二人掛けのソファへ移動した。






「しっかし、教師一人に一部屋って贅沢だよなァ」
「少子化で教室が余ってただけだろ」

土方が使用しているこの部屋も、空き教室を改造しただけのものだ。

「そらそうかもしんねェけど…って、もう飯終わりかよ。そんだけで足りるのか?」
「育ち盛りの時期はとっくに過ぎてんだよ。俺はこれで充分」

土方が食べ終える間に、倍の量を平らげる男子高校生と一緒にされては堪らない。

「でも、朝食べてねェんだぜ?そんなんだから細いんだよテメェは」
「ひゃっ!ちょ、触んなって…ぁ、俺は標準だ!!」

さわさわとその細さを確かめるように腰を触られ、土方は擽ったさと淡い快感に身を捩る。

「馬鹿言え。男の標準がこんなに細くて堪るか。抱いてる時、いっつも折れそうで恐ェんだよ。もちっと太れ」
「折れるか!!俺はこの体重がベスト…って、どこ触ってやがる!!」

腰骨周辺を彷徨っていた手がベルトを外して、するりと下着の中に滑り込んでくる。

「コレ。挿れてやるよ」
「なッ、それは…!!」

いやらしく笑んで高杉が舐めて見せたのは、昨夜も土方を散々鳴かせてくれたローターだった。

「何でンなモン持って来てんだよテメェは!?」
「今日の朝、アンタに仕込もうと思ったんだけどよォ。時間が無くてな」
「ンなこた聞いてねェよ!!ってか、そんなこと考えてたのかテメェは!!」

あの時間の無い時にそんなことを考えていたのかと、土方は呆れる。

「学校で挿れたまんま我慢してるアンタを見て見たかったんだよ。イイだろォ?」
「イイ訳あるか!!離せテメ、あ、ちょ、やだ…あぁ!」

股間近くでもぞもぞしている頭を掴んで押し退けようとするも、きゅ、と性器を握られては力が抜ける。
その隙に高杉は、土方の蕾を探る。
昨夜の情事の所為で解れきったソコは、濡らさずとも容易に高杉の指とローターを呑み込んだ。

「やっ、高杉!取れよ…!!」
「やだね。次、俺のクラスの授業だろ?楽しみだなァ、オイ」
「楽しみじゃねェよ!!洒落になんねェってッ!!」

必死に訴えるが、高杉は暴れる土方の着衣をさっさと整えてしまう。
異物を食むことに慣れた内壁は、ローターを奥へ取り込むような動きを見せた。

「高杉!!」
「午後は俺のクラスの授業だけだろ?一時間我慢すりゃ取ってやるよ」

ニッと笑った高杉は、予鈴が鳴ると同時に土方の頬を妖しく撫でて準備室を出て行ってしまった。
取り残された土方はどうすることも出来ず、胎内に残る異物感に小さく呻いた。







 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ