Ss

□Invisible Horror
4ページ/5ページ

「はぁ…は、……わぷ」

荒い息を整えていたら、いきなりシャワーで頭の泡を流される。

「ちょ、うわ、銀ッ!」

繋がったまま洗われて、せめて抜けと喚くが、洗い終わるまで抜いてくれなかった。

「テメ、何しやが…んンっ…」

やっと開くことの出来た目で睨みつけたら、口吻けられて何も言えなくなる。

「エロくて可愛くて大好きだよ土方」
「〜〜〜ッうるせぇ!!」

にっこり笑って言われたそれに、首まで紅く染めた土方は風呂から逃げ出す。
用意されていた着替えに袖を通し、脱衣所を出ようとしたところで土方の足がぴたりと止まる。
銀時に要らぬ恐怖を体験させられた所為で、独りになるのが完璧にダメになってしまった。

「およ?待っててくれたの?」
「……ッ違う!」
「あ、そ。銀さん居間で寝るから、土方は布団使っていーよ」
「!?」

冷たく突き放すような声音に、土方は目を見開く。

「なぁに?土方」

着替え終わって出て行こうとする銀時の服を掴んだ土方を、不思議そうに見る目が射る。

「…ぁ」

思わず掴み締めた服を、土方は慌てて離す。

「土方?」
「…ッ」

独りになりたくないとは言えなくて、土方は唇を噛み締める。
そんな土方を見て、銀時は仕方ないなぁと小さく溜め息をつく。

「土方、どうしたいか言ってごらん。独りで寝たい?」
「……」

優しく頬を撫でられて、土方は首を横に振る。

「じゃあ、一緒に寝る?」
「……」

この問いには、土方はほんの微かに頷いて応えた。

「んじゃ寝よっか」

銀時に肩を抱かれて、浴室を後にする。
なんだか激しく負けたような気がするが、ペドロの恐怖の前には些末なことだ。

温かな銀時の腕に抱かれて、土方は安らかな眠りにつく。
盛った銀時に起こされるまでの、ひとときの間だけ。

END.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ