捧げ物

□無礼講なんて嘘だから…
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光りの射さない深夜――

真選組の屯所でもあまり使われない一室に局長である近藤と副長である土方の二人が蝋の灯りを挟んで座っていた


「トシ…いや、土方副長…やってくれるな」
「ああ…気は進まねぇが、重要なんだろ?断るハズがねぇ…だろ、近藤局長」


ピンと張り詰めた空気に乗る言葉
普段の二人(特に近藤)からは予測ができないだろう


「だがこの任務、一人じゃ無理だぜ?かといって秘密裏に処理しなきゃなんねぇから隊士は使えないし…」
「あー…その件に関しちゃ一応…」


資料を見ながら考えている土方に近藤は言葉を濁しつつ言うか言わないかを考えて口ごもる
長い付き合いから察した土方は小さく溜息を漏らすと続きを言うように目で促せた


「万事屋に頼んだ…」
「はぁ?何でアンタは勝手にそういう事をすんだ!仮にも一般市民だぞ!巻き込んだらどうするつもりだ!」
「だってお妙さんに頼まれたんだもん!一人頭50万で!」
「キモッ…オカマ言葉で喋るなぁぁぁ!しかもその法外な金額は何だ!」
「キモッて…トシ!酷いぞ!あ、大丈夫だぞ。万事屋一人分…」
「んな事聞いてねぇぇぇ!礼金に関しては俺が示談する」
「と、言うことはトシも万事屋で不足はないって事だな」


漫才になり始めていた二人の会話だが、近藤の一言を聞いて土方は固まった。よって漫才会話は終わった
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