++シャーマン++

□T、プロローグ
1ページ/1ページ

1989年

「うっ・・ひっく・・ひっ・・・」

小さな教会に響く女の子の泣き声。教会の中は血の海と化し、何人もの人が倒れている。その真ん中に女の子は座っていた。澄んだ蒼い瞳を持つ小さな女の子・・・。

「お前・・・何を泣いている?」

ハッと顔を上げた女の子の目が紅くなる。

(! こいつ・・・)
「誰?誰なの・・?」
「僕かい?僕はハオ」
「・・私が・・怖くないの・・?」
「怖い?なぜだい?」
「なぜって・・この目を見て、怖くないの?私は・・・鬼なのよ・・・」
「鬼・・・か。フフ、とても綺麗な目じゃないか」
「!? き・・れい・・?私の・・目が・・・?」
「憎いのかい?人間が。僕が滅ぼしてやろうか」
「!」
「来いよ。連れて行ってやる」
「ハオ・・・様・・」

1998年
シュンッ  マントをなびかせるハオの後ろに少女が現れる。

「お呼びですか?ハオ様!」
「あぁ。君の出番だよ。葉という男の未来が見えるかい?」
「勿論です、ハオ様!出でよ、我が風の神!憑依合体!」

少女の体が光に包まれる。

「・・葉の他に誰か見えるかい?」
「はい・・5人・・ほど・・」
「じゃあその中の1人、覚えられる?」
「・・・・はい」

少女は憑依を解くと座り込む。ハァッハァッと肩で荒い息をしている。

「大丈夫かい?神との憑依は疲れるだろう?」
「平気です!ハオ様、私は何をすれば・・・?」
「うん。覚えた1人をね・・・殺してほしいんだ」
「!?」
「5人は、きついだろう?1人でいい。・・・出来るかい?」
「・・・・出来ます」
「いい子だね。これを付けて行くといい」

ハオはビー玉ほどの玉がついたネックレスを少女の首に付けた。

「これ・・・」

玉の中がキラキラと輝いている。

「綺麗・・・これは一体・・・」
「それを付けていれば僕の力で自分を見失う事はないからね」
「! あ・・ありがとうございます!ハオ様!!」
「さぁ 行け!そして戻って来い 僕のもとへ・・・」

少女は音もなく消える。

   〜続く〜

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ