読み物U
□HAPPY HAPPY
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「さむ…」
目を覚まし、隣を見てみればそこは既に蛻の殻
どうやら逃げられたかな、等と思いながら首を巡らせる
どうやら寝室にはいないようだね
とりあえず上着を羽織りベッドから体を起こす
寝室を出ればそこは暖房の入れられたリビングで、私に気付いた鷹通がにっこり微笑んでいる
ずいぶん短くなった髪も見慣れてきたところ
「おはようございます、友雅殿」
暮らす場所や着物は変わってもこの呼び名は相変わらずで
「随時と早起きだね、鷹通」
「楽しみにしておりましたから」
穏やかな声も何も変わらない
「では待ちかねている姫君のために急いで支度をしなければね」
鷹通の「私は姫君ではありません!」といういつもの台詞も聞き流し、支度をはじめること20分…
リビングの鷹通はというとガイドブックを眺めては熱心にメールをしている
「そんなにご執心の相手とはどちらの姫君かな?…妬けるね」
「ち、違いますっ!いえ、確かに姫君ですが…そうではなくっ」
「それで、神子殿達はあとどれくらいで…」
問いを遮るかのようにドアチャイムが響く
鷹通がパタパタと嬉しそうに出迎えに行った
全く、そんな君が愛しくて仕方ないのだから…私の負け、なのだろうね
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