読み物U

□先の白虎
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「―――・・・あの、友雅殿・・・。」

「ん?どうかしたの、鷹通」

「いいえ、何も・・・。」


いつも『何でもありません』といってしまいますが
本当は何もなくなんて無いんですよ
言いたいことがたくさんありすぎて
言葉にならないだけなんです

貴方にはいとも簡単に言ってしまえるような言葉でも
私にとって見ればとても難しくて
口に出してみようと思っても
おかしな間が出来てしまって
何でもありません、と誤魔化しても
結局見破られてしまいます
どうしてかと問うてみても


「うん、なんとなくわかるんだよ」


そんなことを言っていますよね
悔しいんですよ、そういわれてしまうと

いつも私の傍で優しく微笑んでいて
時折私のことをからかって
それでも、そんな貴方の傍にいられることが
私は本当に嬉しいんですよ

私は貴方のように
はっきりと言葉に出すことが苦手なので
このように書き綴る事しか出来ないのですけれど
いつかきちんと私の口で
貴方に伝えたいと思っているんですよ?

――――――・・・どうせこれを読んで
笑っていらっしゃるのでしょう?
今はまだ、それでも仕方ないですよね
―――・・・別に拗ねてなどいませんよ

私が貴方に伝えたいことは
今はまだ此処にこうして綴らせていただきますね
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