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□いとし
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いつもと変わらない朝。カーテンのスキマから入ってくるまぶしい光に目の前が白くなる。
「んっ…」
もういいかげん起きなければ、勤務開始時間に遅れてしまうだろう。
みじろきすると冷たい空気が体中を包む。その感触に思わず身震いする。
隣には、もう誰もいない。この場所の主はもうだいぶん前に勤務に向かったのだろう。すっかり冷たくなったそこに、ほほを寄せる。
「おはようございます、たつみさん」
なんとなく付いた習慣。勤務時間帯がずれることが多い自分達は、なかなか一緒に起床する、就寝するなんて習慣はない。ただでさえ忙しく、人員不足の外警班の班長をしている愛しい人.
夜中に仕事に出て、帰ってきたと思ったら一時間ほどで勤務に戻っていくこともざらで。それでも愛しい人の残り香を、体温を求めて、端から見たらばかげているとしか思えないだろう行為をつい、してしまう。
一つ、息を大きく吸うと、いつも自分を優しく包んでくれる香りに包まれているような気がして、少しだけ、すきまがあいた心が満たされる。
ー今日も一日、何事もなく……
声もなく、今まで幾度となく願ったことを、今日もまた、一人つぶやく。


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朝の風景、と思って書いてみました。おちなしかよ、SSS過ぎるだろう、というつっこみは勘弁してください(T_T)すみません。。。

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