藍染×一護 B
□かくれんぼ
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「はぁ、はぁ」
どくんどくんと波打つ心臓の音が、周りに聞こえているんじゃないかと思えて一層激しく胸が鳴った。
周囲を見回す。
誰もいない。
すぐに見つかりそうな場所に隠れてから、かれこれ30分。
まだ近くに藍染の気配すら感じられない。
「探してるよな?」
言い出したのは藍染。
虚圏に行くのを嫌がる一護に対しての譲歩。
ゲームに一護が勝ったら現状維持。
一護が負けたら虚圏に行くとの約定。
「もしかして」
探してないんじゃないのか…不安がよぎる。
諦めて、もういらないと捨てられたんじゃないかと。
視界が歪む。
すぐに見つけてもらえると思っていた。
そして虚圏へと攫ってもらえると。
自分で選ぶのは辛すぎるから、藍染のせいにしてしまおうと都合良く考えていたのが間違いだったのか。
「はやく」
見つけて欲しいのに、一時も離れず側にいたいのに。
カサリッ
草が揺れ、必死の思いでそちらを見る。
『にゃあ〜』
ぼろぼろと落ちる涙を止めることなど、出来なかった。
やっぱり、もう探してなどいないのだと感情がさらにこぼれ落ちていく。
「…もう…やだ…」
顔を両手で被いむせた。
座り込んだまま、膝を投げ出す。
視界に広がる闇を見つめて、一層悲しみが胸を傷めつけていく。