藍染×一護 B

□希望と絶望と A
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突然の雷と雨に打たれ、どうしようもなく立ち尽くした。
あまりの激しさに歩く人もいない。
そして、いつもはつんつんのオレンジ頭が今はぺったりとしている。
髪から落ちた滴が服に落ちる。体が冷えても、動きが鈍くなるだけで支障はない。
だから死にはしない。

つと見つけた小さな公園のジャングルジムの上で、ただぼぅと空を見上げた。

見上げていると目に染みて、頬を雨が濡らす。
暗い天上は光を放ち、落ちていく。
ぐっしょりと濡れた服が重い。
「痛い」
光が輝き、体の中に沈んでいた澱が露見するようだ。
昔、何も知らずに笑えた頃…何にでも感動できたはずなのに。
誰に対しても笑えたはずなのに…今はそんな気持ちすら起こらない。
あの人を中心に世界が回っていたから。
今は苦しさを増すだけだった。
「痛い…痛い…痛い」
手も足も重くて動かない。
音が響き、光はさらに大きくなる。
「惣右介…」
忘れなくてはならない人。
憎まなくては生きていけない人。
空を見上げる。
ただ見上げる。

こぼれた嗚咽を聞く人もいないから、いまだけ、あなたの名前を呼ぼう。
「惣右介…」

喘ぐように。
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