藍染×一護 B

□ふたり
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3人掛けのソファに寝転びながら、窓辺で本を読む藍染に声をかけた。

「惣右介」

「なんだい」

読んでいた難しそうな本から目を移し、一護を見つめる。
その視線は偽りなく優しい。

「ううん、呼んだだけ」
そっと腰を上げ、にこりと微笑む一護の側に寄る。

「暇かい」

「ん?そうでもないよ」
「そうか」

一護は体を起こし、藍染のためのスペースをあけた。
そこに腰を下ろす。
すると一護は当然のように藍染の膝に頭をのせた。
本に目を戻し、けれど今度は片手が柔らかい髪をそっと撫でる。

「惣右介」

「なんだい」

「確認」

一護が膝の上で笑う。
破面という存在ながら、穏やかな感情を持つ一護を愛しいと感じる自身に苦笑しながら、唇に口づけを落とす。

「惣右介」

「なんだい」

「愛してる」

「私もだよ」

その後に会話はない。
おだやかな空気だけが二人を包んでいる。
本を読みながら藍染は髪を梳く。
一護はそのうち寝息を立て始める。

「愛してるよ一護」

眠る一護にそっと囁く。
破面の中で一護が唯一、欠けた穴もなく、仮面の欠片もない。
確かに崩玉の力を使ったはずなのに、一護だけが異質。
光を得た破面。

藍染は本を傍らに置くと、ゆっくりと目を閉じた。

一護と同じ夢を見るために。
さらりと流れた髪の毛が、室内灯の光を受けて輝く。
キラキラと。

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