藍染×一護 B

□猫
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ちいさな仔猫を胸に抱いて
寒さに震えていた
雨がばらばらと天から落ちてくる
みゃおぅ
と微かに鳴く仔猫
真っ白な毛のチビは少し薄汚れて震えている
少しでも温めてあげようと思うのだけど
すでに冷え切って動けずにいる体温では
なんの助けにもならない
「ごめんな」
見えないものが見えて
追いかけられて
いつも死にかけているから
家もなくて
他人にも追い立てられて
一人だったから
つい抱き上げてしまったんだと謝る
あたたかい家も
あたたかいご飯も
あげることが出来ないのに
抱き上げてしまったことに
謝る
みゃおぅ
気にするなとでもいうように仔猫が鳴いた
神社の社の下で雨から仔猫を守りながら
ただ泣いた
薄れゆく意識が
冷えていく体温が
死を予感させる
「あれと同じになるのかな」
いつも追いかけられる見えざるものと
それもいい
生きていても化け物といわれていたから
死んで本当の化け物になるのも良いだろう
「お前は生きるんだよ」
白いチビに告げる
靄がかかったように
冷たさも
寒さも
感情も消えていって
俺は…死んだ
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