突破記念小説
□監禁
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欲しいと思った。
故に閉じ込めた。
はにかんで笑う、その笑顔を独り占めしたかったから。
太陽のような輝きを誰にも渡したくはなかったから。
双極の丘から連れ去った。
穢れた澱みの中ですら侵されない光を持つ君を、離したくなかった。
逃げられないように、一人では動けないような怪我を負わせて奪った。
そう、だからこそ。
今、君はもう笑わない。
媚びたような、壊れた表情しか浮かべない。
それでももう誰の手にも渡らない君に、真実の偽りない私をあげよう。
私はこうなることを望んでいたのかも知れない。
虚ろな目でしか見つめられなくとも、私だけを見つめる瞳を手に入れたのだから。