藍染×一護 A

□天上人
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双極の丘。
もう来ることはないと思っていた場所。
始めてみた時から、目を奪われた男の愛する女を助けた場所。
ルキアを助けたかった理由が変わっても、助けたいことにかわりはなかった。
だから、雨竜の言葉を聞き、走り出さずにはおれなかった。
恋次が危ない!
ルキアを助けたくて、でもそれ以上に恋次を護りたいと思った。

恋次を助けたくて、あの男の刃の前に飛び出した。
体もボロボロで、受けるしかできない。
圧倒的な力の差がまざまざと見せつけられた気がした。
凄まじい圧力と、口元だけ笑んでいるのが恐ろしい。
逃げないとヤバイ、そう思うのに恋次が逃げないとほざくから、腹を据えるしかなかった。

「そんじゃいっちょ…共同戦線といくか!!」

力をこめる。
精神集中しなくては勝てる相手ではない。

だが…
コンマ1にも満たない勝負。
あっさりと斬り捨てられる。
「可哀相に、阿散井くんは君の気持ちに気付いていないよ」
耳元で囁かれる。
恋次の肩を切り裂いた刃は血を滴らせていた。
腰の痛みよりも何よりも、言葉が痛い。
恋次が自分を見てくれるはずがないとわかっていても、辛い言葉だった。
藍染がルキアを連れて行きながら言葉を紡ぐ。
「可哀相に、少し待っておいで」

崩玉を取り出すとゴミのようにルキアを捨て、恋次を踏みしめて一護の横に膝をついた。
「さぁ行くよ」
ギリギリのところでくっついている体は、力を入れようにも動かすことすら叶わない。
助けて…そう思っても周囲を見渡す。
「無駄な足掻きはしないことだ。阿散井くんを殺されたくないんだろう?」
にっこりと、ただにっこりと笑った…。
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