小説T
□七夕
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「神谷さん、神谷さん」
手招きする僕の所にくる神谷さん。
「なに?」
さっきまでにゃんこ先生とあんなに楽しそうに遊んでたのに呼ぶと来てくれるから愛されてるんだなぁと実感。
そんなこと言ったら自意識過剰すぎって怒られちゃうけど。
「今日、何の日か知ってますか?」
「なに?誰かの誕生日?」
真剣に悩んでちょこんと首を傾げる仕草が可愛い。
「違いますよ。全く神谷さんは頭が固いなぁ。」
「なっ、なにをっ。小野くんに言われたくないね、30歳のくせに。」
30歳は貴方にもあったでしょ、と思ったけど拗ねられると困るから
「七夕ですよ。」
「あぁ、織姫と彦星がなんちゃらかんちゃらの。」
「一年に一回だけ会えるんですよ。運命の赤い糸で結ばれてるのに。皮肉な話ですよね。」
「なんで?」
「だって俺たちもこんなに愛し合ってるのに結婚できないんですよ!」
「だってしょうがないじゃん。法律で決められてるんだから。」
照れてくれるかなぁ、なんて思ったけど意外に冷たい反応。
さらに
「そんなに結婚したいなら早く彼女作ればいいじゃん。」
全くもう、そんなこと思ってるわけないのに大人ぶっちゃって。
「俺には神谷さんしかいないの!」
耳まで赤くして
「当たり前じゃん。」
がしっと何とも男前な抱きつきかた。
「じゃあフランス行きますか?」
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果たしてフランスで♂同士で結婚できるのか?
知りません。
多分、できますよ、多分。
神谷さんと小野くんの愛ならできますよ。
七夕関係なしにまっしぐら。
織姫と彦星が再会をして愛を営めますように。
2008.07.07