企画物/頂き物
□7.雨宿りはいつものバス停
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「…うげぇ、雨降ってきやがった」
任務に行っていたシグバールは、駅を出ると見事に雨が降っていた。
「傘…持ってこなかったしな…」
このまま濡れて帰ろうかという考えが頭をよぎったが、とりあえず雨が止むまでいつものバス停で待つことにした。
10分、20分…待っても待っても雨が止む様子はない。いい加減めんどくさくなってもう雨に濡れて帰ろうと思い、一歩踏み出した。
「…シグバール?」
…この声には聞き覚えがある。
シグバールは振り向くと、やはりルクソードだった。
「…なんで此処にいるんだってハナシ」
「それはこちらのセリフだが?」
不機嫌そうに口を開くシグバール。ルクソードは少し笑ってわざとシグバールに歩み寄る。
「…傘、忘れたのだろう…ほら」
ルクソードはまるで前からわかっていたように、持っていた一本の傘をシグバールに差し出した。
「…おまっ…!なんで……」
「…普通にわかる。お前の事など」
まるで俺の考えを全部読み取っているような口調で言う。シグバールはムッとなり傘を取り、地面に叩きつけた。
「…傘なんかいらねぇ、俺は走って帰るってハナシ」
「それでは風邪をひくだろう。それとも相合い傘をご希望かな?Lady」
「…ふざけんなよ?俺はお前と相合い傘なんかしねぇってハナシ。いい加減にしろ」
なんだか苛々している。傘を拾って、ルクソードに投げつけた。
「…シグバール」
「なんだ…よ!?」
ルクソードはシグバールの腕を掴み、引き寄せた。
シグバールは真っ赤になってルクソードを突き飛ばす。
「馬鹿か!お前って本当……!」
「つくづく可愛いなシグバール」
変態な言葉を口にするルクソードを俺は憎めない。
俺はルクソードが好きだから…、かもしれない。
そう思うと自然と顔が真っ赤になる。
「お前といると…調子狂うってハナシ」
「…それは…告白として受け取っていいのか?」
「……いいんじゃねぇのか?////」
「…嬉しいな。シグバール」
ルクソードはシグバールに笑いかける。その笑顔は反則だと思う。
「…あっ、雨止んだな。行こうぜ、ルクソード」
シグバールは反射的にルクソードの手を握る。
「…ああ」
ルクソードも握り返す。
雨上がりの空はとても綺麗だった…。
雨宿りはいつものバス停
(…いい加減、手ぇ離していいかってハナシ////)(…ダメだ、まだ私はつないでいたい)
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龍蘭さまから頂きました!
キングダムハーツ、初代の最初辺りしかやったことがない奴ですが、めちゃめちゃ萌えましたv
なんという文章力!!破壊力抜群です!(笑)
私なぞの企画に参加して頂き、そして素敵過ぎる小説を書いて下さり本当にありがとうございました^^*
なお、3周年企画での作品のお持ち帰りはご遠慮下さい。