神子
□1章 神子
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バタバタッ
バン!
「王!大変です!」
「…カイル、部屋に入るときはノックくらいしろ……で、何があった?」
部屋の前で見張りをしている兵士たちは普段冷静な宰相のカイルの慌てぶりに驚きを隠せないでいた。
王はというは、王以外のつまり、人前では冷静沈着の仮面を被っていることは知っていたので、取り乱した姿を見て少し目をみはった。
「信託です!先ほど神官であるアルジスから連絡がありました。正午には始まりの森に神子が現れるようです!」
若干興奮気味のカイルを興味なさげに王−ソウェル・レイサスは見た。
それに気付かないカイルは、「早く兵士を向かわせましょう!他国に神子を渡すことはなりません!」
ソウェルはため息を吐くと、わかったと眉をひそめて了承した。
「ではすぐに兵を向かわせます」
「…いや、俺が行こう…」
そうソウェルが呟いた。
カイルはそれを聞くと慌てて止めに入ったがソウェルは気にも止めずそのまま部屋を出ていった。
その後を慌てて追い掛けたカイルの姿があった。
このひとこまの出来事によりカイルの今までの冷静沈着というイメージが崩れてしまったとかしないとか……